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馬を買うスタイルが確立された

吉田照哉
日本競走馬協会副会長

●2日目 当歳市場

 1億円以上の馬が出て活気が戻ったというか、今日のほうが明らかに名簿がいいという感触がありました。牧場に馬を見にきたお客さんも、当歳のお客さんのほうが多かったんですね。そういうことを考えたら、今日は競らないことは絶対ありえないなと思ってました。

 なんで当歳のほうが盛り上がるのか、値段のつき方にパンチ力があるのか。いったん弾けると、当歳のほうが上がり方が強いというか、セリ自体が盛り上がるという感じですからね。理屈はともかく、日本においては当歳で馬を買うということが今までずっと続いてきたというか、そういう部分が変わらずに残っていると思いますね。

 理事会で協議すると思うんですけど、この結果だったら来年もやっぱり当歳と1歳の二本立てということは変わらないと思いますよ。当歳を止めるといったら、お客さんのほうが悲しむというか、拍子抜けするんじゃないかと思いますね。

 当歳で馬を売ろうというからには、体型的には目立つ馬を出してるんでね。やっぱり並の馬ではお客さんが競ってくれるとは思ってないので、そういうプレッシャーというのは馬を選ぶ段階でありますからね。それをお客さんが微妙に感じ取ってくれたんだと思いますよ。

 うちの馬でゼンノロブロイの仔は僕が見て惚れ惚れするようないい馬だったんで、1億円ぐらいの値段はつくんじゃないかと期待してました。なかなか今日の377番みたいな当歳はいないですよ。出した自分で言うのもおかしいんですけど、それぐらい素晴らしい馬だった。

 日本の馬に対する安心感というか、信頼感というのは結構強いんじゃないですかね。外国の持ち込みが出てきても、やっぱりゼンノロブロイとかディープインパクトのほうが明らかにお客さんの眼を引きつけているわけですから。それは日本の生産者としては非常に有難いというか、非常に自信を持てるいいことだと思いますね。

 サンデーサイレンスがいるときはサンデーのなかの何頭かに集中する感じだったんですけど、今は焦点が広くなっている。生産者としても1頭に集中してるより、何頭かの馬が支えているほうが安心感は絶対あると思うね。いくらサンデーサイレンスがいいといったって、1頭におんぶに抱っこという状態よりは安心感がある。それにいい馬が産まれたら1億の値段も出るわけですからね。

 ディープインパクトは、馬全体が丈夫になってきたら走るというタイプじゃなくて、2歳の今頃からでも馬のまとまりが良くて、早い時期の競馬にも対応できるということをみんな言いますね。体が割合小さいし、均整が取れているということも言えるかもしれない。それと脚の丈夫な馬が多いですね。

 メイショウサムソンも均整が取れていて、しっかりしてる。チチカステナンゴは腰の筋肉がすごく張ってて丈夫そうというのが特徴なんですけど、子供を見ると馬体の張りが良くて、やっぱり腰の力が強そうな馬がいて、この馬いいところがあるなという馬は3000万以上の値段がついていましたよね。

 それにサンデー系の繁殖を持っているというのが強いんですよね。サンデー系の繁殖にメイショウサムソンにしてもチチカステナンゴにしても、そういう馬を付けると、さらにまたいい馬ができるということを僕らは実感しているんですね。なんだかんだ言ってもサンデーサイレンス様々なんですね。今やサンデーサイレンス直仔の肌だけじゃなく、アグネスタキオンやフジキセキの肌とかいろいろいますけど、そういうのが繁殖になっていい仔を産んでくれているということも言えますよね。

 みんなが自分で一番いいって馬を持ってくるというふうにならなきゃ駄目ですね。とにかく一番いい馬をセリで売るんだというふうに全体的に高まったら、もっといいセリになるかもしれないですけどね。

 僕もエイシンフラッシュの下が牡だったらセリに出したかったんですけど。そういうのを出していくらの値段がつくかというのをやってみたいですね。それが絶対、盛り上がる秘訣だよね。1億円の馬が出てから何となくセリが盛り上がってきたものね。やっぱり1億というのは、ひとつの数字だよね。