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日高便り

2015年10月23日

馬産地の秋~産地の好景気は本物か

北海道事務所・遠藤 幹

 10月になった。遠くに望む日高最高峰の幌尻岳が真っ白に輝いている。この稿が活字になる頃には、初霜も既に降りているだろうか。日高の秋は駆け足で過ぎ去り、間もなく厳しい冬が訪れようとしている。
 私自身は実感に乏しいのだが、馬産地の景気は、昨年以上に良さそうだ。
 その証拠の一つとして挙げたいのは、HBAサマーセールの絶好調な売れ行きである。
 8月24日から4日間開催された同セールは、1239頭(前年1133頭・以下同じ)の上場馬のうち、売却された馬が812頭(695頭)、売却率65.5%(61.3%)、総販売額は税別で35億760万円(28億5760万円)、平均価格は432万円(411万円)を記録した。
 好調と言われた昨年実績を大きく上回り、いずれの指標も過去最高。4日間のセールは終盤失速することもなく、1頭の馬に対し複数のバイヤーが競り合う「ガチンコ・セール」とも言える展開となった。市場関係者の努力に敬意を表したいが、それだけでは説明できぬ購買意欲に満ち溢れた会場内の熱気が、さらにセールをヒートアップさせたようだ。上場者側に立ってひとつ欲を言えば、売却価格がもう少し高ければ、さらに産地経済に好循環を生んだのではないかと思うが、贅沢の言い過ぎか。馬の売れ行き好調の影響は、生産者の種付料支払のペースが例年にも増して順調なところにも表れているようだ。
 もう一つ好調なのが、道営競馬の発売成績だ。既に全開催日数80日の4分の3にあたる61日を経過した(9月30日現在)が、総発売額で126億3100万円(前年116億7355万円、8.2%増)と、こちらも依然好調だ。
 今年、門別競馬場は内回りコースを新設し、1500m、1600m戦が新たに設定され、バラエティに富んだ番組が組めるようになった。地方競馬最強の2歳馬が揃い、番組的にも大きなアドバンテージを持つ道営競馬が、広く認知された結果と評価したい。
 本場の売り上げが低いなどの批判が一部であるが、そもそもこの地域の人口を考えた場合、ネットや他の競馬場での発売額が大きな比重を占めることはやむを得ない。そういった道営競馬の特性を逆手にとった戦略が、功を奏したとも言える。とは言え、門別競馬場を訪ねてみると食事もおいしく、地方屈指のコース形態で行われる競馬は迫力満点。若者や女性の比率も高く、産地に根付いた競馬場であることを、訪れる人皆様に実感させると思う。ぜひご来場ください。
 20数年前、バブル景気に沸いた馬産地。この産地にも宝石商らが来て、牧場経営者の方々に高級宝飾品や腕時計などを販売していた光景を思い出す。私は入社して間もない時期のことでもあり、そんな光景には無縁の日常であったが、一種異様な熱気が産地を支配し、馬の値段も上がったが、その上昇ペース以上に種付料やその他飼料資材の価格も上がったように記憶している。
 今の好景気は、その景気と比べるとずっと希薄であるが、逆にずっと健全な香りがする。地に足をつけた牧場経営を行い、知恵を絞りアイデアを現実に変えて競馬運営を行う。今の好景気がいつまでも続くわけではないが、生産者も競馬運営者も今の経営姿勢であれば、前回の轍を踏むことなく、不況の時もしっかり乗り切る備えを身に着けつつあると信じたい。





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