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2019年2月25日

ランキングから読み解く種牡馬界

北海道事務所・遠藤 幹

 仕事柄、種牡馬ランキングをよく見る。総合、2歳、新種牡馬と、ランキングは区分けされ、それぞれ産駒の収得賞金順に順位が付けられる。2018年総合ランキングは、トップがディープインパクト、続く2位がキングカメハメハであり、この序列は、12年から7年連続して続く不動の2トップ状態である。
 14年から18年まで、直近5年のランキングを眺めてみると、3位以下の種牡馬の陣容も驚くほど変化がなく、上位陣の層の厚さが際立つばかり。しかしその一方でステイゴールドやゴールドアリュールのように既に死亡した種牡馬も上位にランクされており、またトップ10入りしている現役種牡馬も確実に高齢化しており、世代交代も近いのでは……と思われるが、果たしてどうか。
 新進気鋭の種牡馬を確認するには、やはりファーストクロップ種牡馬ランキングを丹念に眺めるのが早道だ。過去5年間の新種牡馬チャンピオンを並べれば、ハービンジャー、カジノドライヴ、ルーラーシップ、ロードカナロア、ジャスタウェイと続く。この中でも特筆すべき年は、2年前の17年。ロードカナロアが新種牡馬チャンピオンに輝いたのだが、2位ヘニーヒューズ、3位オルフェーヴルまでもが、ベテラン種牡馬を含む2歳種牡馬ランキングのトップ10内に入り、全体のレベルが大変高い年と言えた。ご存知の通りロードカナロアは、昨年の年度代表馬アーモンドアイらを輩出し、わずか2世代で総合ランキングの7位にジャンプアップした。今年の種付料も1500万円に設定され、次代のチャンピオン種牡馬に一番近いところに位置していると言える。ハービンジャーやルーラーシップといったところも、世代を重ねるごとに産駒のボリュームが増し、いずれも総合ランキングトップ10入りを果たし、人気種牡馬としての地位を不動のものとしている。
 ここまでは社台スタリオンステーション繋養種牡馬のオンパレードなのだが、近年、日高繋養種牡馬における活躍著しい種牡馬は何か。残念ながらトップ10入りした種牡馬2頭はいずれも死亡している。ステイゴールドとサウスヴィグラスだ。今なお芝中長距離で抜群の実績を誇るステイゴールドと、ダート短距離に卓越した能力を発揮したサウスヴィグラスの産駒が、父馬が死した後も途切れることなく活躍を続けているのは立派の一言。
 大隆盛を誇るサンデーサイレンス系種牡馬からは、まだ明確に3世代目の中核をなす基幹種牡馬が育っていない。ディープインパクト、フジキセキ、ハーツクライ、ステイゴールド、ダイワメジャーがサンデー直仔種牡馬の5本柱ともいうべき存在。ここからさらに枝葉を広げるか否かは、それら産駒のキンシャサノキセキやジャスタウェイ、オルフェーヴル等々に加え、大本命のディープインパクト後継種牡馬の、本年以降のデビュー組の活躍にかかってくる。本年はキズナやリアルインパクト、来年はエイシンヒカリといったディープインパクト大物後継が続々デビューする。ダービー馬マカヒキやワグネリアンといった現役競走馬にも多士済々の後継候補がおり、本格的なディープインパクト直仔種牡馬の真価が問われるのは、これからではないだろうか。
 一方の雄キングカメハメハからは、先に挙げたロードカナロアやルーラーシップが既に種牡馬として成功し、今後もドゥラメンテ、リオンディーズやホッコータルマエ、現役馬にも昨年の最優秀4歳以上牡馬レイデオロといった強者が控えており、さらにキングカメハメハの版図を広げていくか否かに注目が集まる。
 このような情勢下にあって、本年初供用の新種牡馬を眺めてみると、ディープインパクト後継としてはサトノダイヤモンド、リアルスティール、グレーターロンドンらがおり、非サンデーサイレンス系としては、サトノクラウン、タリスマニック、マインドユアビスケッツ、シャンハイボビーらがいる。産地の趨勢としては、価格帯として手頃な非サンデーサイレンス系種牡馬が配合のしやすさで人気を集めているが、種牡馬ランキングを丹念に眺めた感想としては、どっこいまだまだサンデーサイレンス系が小休止の状態から息を吹き返しそうな気配もある。キングカメハメハ系の躍進とも相まって、母系のサンデーサイレンスの血を生かした配合が、まだしばらくは続くようにも思えるのだ。
 私が考える大穴は、ダート短距離系種牡馬。芝中長距離のハイレベル激戦区を避け、大きく開花する種牡馬が、このカテゴリーが手薄なだけに突然現れるかもしれない。

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