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2014年6月25日

サンデーの血は永遠なり!?

死後12年、いまだ活力衰えず

北海道事務所・遠藤 幹

 この稿を書き始めたのは5月31日。日本ダービーの前日である。ダービーに出走する17頭は、2011年の生産頭数7123頭の中で選ばれた俊英ともいうべき存在だ。
 ダービーの出馬表を前にして、仕事柄すぐ目が行く血統欄をつぶさに眺めていた。出走馬17頭のうち、父がサンデーサイレンス(以下サンデーと表記)系の馬が10頭、母系にサンデーの血が入っている馬が6頭。実に16頭までにサンデーの血が脈々と息づいていることに気付く。サンデーの血が全く入っていないのはエキマエただ1頭(父メイショウボーラー、母の父コマンダーインチーフ)のみ。サンデーが死亡して12年が経過しようとしているが、まさにサラブレッドの生産界は、サンデーに支配されていることをまざまざと思い知ることとなった。
 出走馬の父馬の名前を列挙すれば、ステイゴールド、ゼンノロブロイ、ディープインパクト、ネオユニヴァース、ハーツクライ、フジキセキ、ブラックタイドと、まさに多士済々の顔ぶれ。翌日のダービーは、ハーツクライ産駒のワンアンドオンリーが、フジキセキ産駒の皐月賞馬イスラボニータに競り勝ち優勝し、3着にはブラックタイド産駒のマイネルフロストが入った。唯一の非サンデー系の競走馬エキマエは、残念ながら競走中止という結果であった。
 あらためて今年のサイアーランキングを眺めてみる。トップにディープインパクトが鎮座し、2位キングカメハメハ、3位ハーツクライと続く。ランキング上位15頭中10頭がサンデー系の種牡馬だ。これは日頃から見慣れたランキングでもあり、現に高額種付料種牡馬のかなりの数がサンデー系種牡馬なので、まあ驚くほどでもないが。
 これらのデータから言える結論は、「非サンデー系の繁殖牝馬にはサンデー系種牡馬を付けなさい」ということ。あれこれ迷うまでもなく、予算の範囲内で最上級のサンデー系種牡馬を配合することが、走る馬を生産する早道といっても過言ではないだろう。
 その一方、産地では数年前からサンデーの血の飽和を危惧する声をちらほら聞くようになった。父系だけではなく、母系にもサンデーの血が濃厚に入っている繁殖牝馬が増えており、配合する種牡馬の選択範囲が大変狭まっているような印象を受ける。最大手の社台グループは、次世代の主力級種牡馬候補として、非サンデー系のハービンジャーやワークフォースを導入し、サンデー系繁殖牝馬との新たなニックスを模索しているところだ。大手牧場のように、血統更新のため輸入繁殖牝馬を導入することなどままならない中小牧場にとっては、何を付けるかは大変悩ましい問題だが、果たしてそうか。
 今年ブリーダーズスタリオンの最多交配数を記録している種牡馬はヴァーミリアン(父エルコンドルパサー、母の父サンデーサイレンス)で、6月3日現在167頭の交配を消化しているが、そのうち確認できただけでも24頭(14%)がサンデー系牝馬なのだ。次いで交配数の多いローズキングダム(126頭。父キングカメハメハ、母の父サンデーサイレンス)は11頭(9%)のサンデー系牝馬と配合。いずれも、誕生した産駒はサンデーの3×3のクロスとなり、既にサンデー系との融合も確実に始まっているようだ。
 私自身の実感としては、ノーザンダンサーが代を経るごとに影響力を急激に失っていったのに対し、サンデー系はいまだにじわじわと拡大基調が続いているように感じる。巷間で危惧される血の飽和を乗り越え、サンデーのクロスがなければ走らないと言われる時代が来るのかもしれない。

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