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2021年12月24日

続々導入が発表される種牡馬

北海道事務所・遠藤 幹

 11月28日のジャパンC(G1)は、2020年の三冠馬コントレイル(父ディープインパクト)が現役最終戦を見事な勝利で飾った。福永ジョッキーの男泣きが感動を呼んだラストランだったが、レースを前に本馬は社台スタリオンステーションでの供用が既に決まっていた。翌週の火曜日には種付料も「受胎1200万円」と発表があり、その1日後の水曜日には余勢も満口となった。ディープインパクトの最良後継種牡馬として、産地の熱い期待を一身に集めていることをまざまざと証明した格好だ。
 この時期、年明けの種付けシーズンに向けて馬産地では、様々な新種牡馬情報が飛び交う。完全に新種牡馬のラインナップが決まるのは、もう少し先になるが、おおむね固まってきたところなので、ここで新種牡馬の顔ぶれをざっと眺めてみたい。

 最大手の社台スタリオンステーションではコントレイル(5歳=馬齢は22年のもの、以下同)以外にも、既にクリソベリル(父ゴールドアリュール・6歳・受胎300万円)、ポエティックフレア(父Dawn Approach・4歳・受胎600万円)の2頭が新たにスタッドインしている。クリソベリルはチャンピオンズC(G1)を始めダート界の主要レースに優勝した実力馬で、父ゴールドアリュールの最有力後継の呼び声も高い。ポエティックフレアは、英2000ギニー(G1)を制した後、欧州3歳マイルチャンピオン決定戦のセントジェームズパレスS(G1)にも勝利した欧州のトップマイラー。その種付料の設定からも関係者の熱い期待が伝わってくる。
 日高町のブリーダーズ・スタリオン・ステーションでは、キセキ(父ルーラーシップ・8歳・受胎80万円)とマテラスカイ(父Speightstown・8歳・受胎100万円)の2頭の導入が発表された。キセキは菊花賞(G1)に優勝し、長く芝中長距離でトップクラスの活躍を続けた実力馬だ。マテラスカイは、快足ダートスプリンター。Speightstown譲りの傑出したスプリント能力を持ち、ダート千二と千四の日本レコードを持つ。積極的に海外に遠征し、タフな環境の中でも好走を続けた身体能力も魅力のひとつだ。
 新冠町の優駿スタリオンステーションにはワールドプレミア(父ディープインパクト・6歳・種付料未発表=21年12月7日現在、以下同)がスタッドインした。菊花賞(G1)と天皇賞・春(G1)を制した実力あるステイヤーで、ワールドエースの全弟という血統馬だ。ビッグレッドファームでは、ベンバトル(父Dubawi・8歳・受胎250万円)を導入した。本馬はドバイターフ(G1)を始めG1・3勝、重賞勝ちは10を数える。父は欧米で数多くの活躍馬を送り出す名種牡馬Dubawi、母は仏国と米国のG1勝ち馬という血統背景の持ち主である。
 静内地区のアロースタッドには、ダノンプレミアム(父ディープインパクト・7歳・受胎120万円)とフィレンツェファイア(父Poseidon's Warrior・7歳・受胎150万円)が入厩。ディープインパクトの血を受け継ぐダノンプレミアムは、朝日杯フューチュリティS(G1)に勝ち、JRA最優秀2歳牡馬に選出され、その後も千六~二千の芝レースで活躍した。フィレンツェファイアは、Poseidon's Warrior(その父Speightstown)を父に持ち、2歳時に米シャンペンS(G1)に勝ち、その後スプリント戦線で重賞勝ちを積み重ねたタフな快足馬だ。
 日本軽種馬協会では、ミスチヴィアスアレックス(父Into Mischief・5歳・受胎120万円)を導入した。米カーターH(G1)などダート6~8ハロンの重賞を計4勝。筋肉の発達した前胸と後肢からも、スピード豊かな本馬の特徴が見て取れる。
 浦河町のイーストスタッドでは、ヴァンゴッホ(父American Pharoah・4歳・種付料未発表)を導入した。仏2歳G1クリテリウムアンテルナシオナルを制し、欧州最優秀2歳牡馬に選出された実績を持つ、日本で人気沸騰のAmerican Pharoahが送る実力馬だ。
 現時点での地区ごとの導入種牡馬を概観したが、この後の香港遠征馬、有馬記念出走馬からも22年に向けてスタッドインする有力種牡馬が登場する。既にダノンスマッシュ、インディチャンプ、オメガパフュームの関係者は種牡馬入りを表明している。

 新型コロナ感染症に苦しんだこの2年間、国内経済は大きく落ち込む局面もある一方、競馬産業は比較的順調だった。馬産地では市場での売れ行きも好調な中にあって、馬主層、生産者層いずれも意欲的に馬産に取り組み、種牡馬探しもこの数年導入競争が過熱しつつある。特にこの2、3年は、次代を切り開く「ポスト・ディープインパクト」探しが産地の大きなムーブメントになっているように感じる。過熱する戦いの中で勝者はほんの一握り。果てしない競争と更新と淘汰が種牡馬の間で繰り広げられることとなるのだが。

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