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日高便り

2022年12月23日

評価を高めるダート種牡馬

北海道事務所・遠藤 幹

 12月1日、園田競馬場で園田金盃が行われた。勝ち馬は、川崎から転厩し園田で3戦目となるラッキードリーム(父シニスターミニスター・牡4歳)で、1番人気に応え2着馬に6馬身差で圧勝した。このレースは、園田競馬場の「古馬王道路線」の中核をなすレースだが、他地区には門戸を開けておらず、「兵庫ローカルグレードのG1」である。2020年より1着賞金は3000万円となり、昨年は5着までの入着賞金が引き上げられてJRAと同じ190方式(総賞金の分配割合を1着馬=100%、2~5着馬の合計=90%とする方式)になった。つまりこのレースの総賞金は5700万円にもなり、負けた馬にも賞金が手厚いのだ。12年前の2010年の園田金盃は、1着賞金600万円、5着までの総賞金が840万円(140方式。総賞金の分配割合が1着馬=100%、2~5着馬の合計=40%)だったことを思うと隔世の感がある。好調な地方競馬の馬券発売成績が馬主に大きく還元されている一例ではあるのだが、JRAに留まらず地方競馬の賞金の高騰が馬主にインセンティヴとして働き、地方競馬用の馬の購入においても積極的なアクションにつながっているのは間違いないだろう。
 地方競馬、つまりダート競馬の隆盛により、ダート種牡馬の地位も大きく変化した。今年12月4日現在のダート部門の総合種牡馬ランキングを眺めると、ヘニーヒューズ、シニスターミニスター、パイロが1位から3位までに位置し、4位、5位には芝でも実績のあるロードカナロアとオルフェーヴルがランクインしている。
 この原稿を執筆している時点では23年の種付料が未発表な馬も多いので、以下、種付料の表記は22年の数字を挙げさせていただくが、ヘニーヒューズが受胎条件500万円、シニスターミニスターが受胎条件350万円、パイロは出生条件300万円と、ランキング相応の高額な種付料に設定されていた。また、それぞれの産駒について今年の市場での取引成績を調べてみると、やはり高評価をされていることが如実にわかり、この観点からも各々の種付料は種牡馬の実力に見合ったものと言えるだろう。

2022年の1歳市場における父馬別取引成績

種牡馬名

2022年種付料

産駒平均価格

産駒取引頭数

産駒最高価格

ヘニーヒューズ 500万円 1349万円 30頭 3190万円
シニスターミニスター 350万円 1550万円 29頭 7040万円
パイロ 300万円 1251万円 26頭 5500万円
 この数年、急激に評価を上げてきたダート種牡馬。優駿スタリオンステーションは、ヘニーヒューズだけではなく、エスポワールシチー(受胎120万円)やホッコータルマエ(受胎250万円)といったダート種牡馬トップ10に入る人気種牡馬を繋養(ホッコータルマエは来年度イーストスタッドで繋養)し、トータルで1700頭を超える牝馬を集め、日高地区の種馬場の中でトップの実績を上げている。
 最大手の社台スタリオンステーションも、クリソベリル、ルヴァンスレーヴといった次代のチャンピオン種牡馬を狙えるダートの逸材が、それぞれ150頭を超える配合牝馬を集めた。23年の種付料は両馬とも受胎条件300万円に設定され、既に申し込み受け付けを終了している。またオルフェーヴル(受胎350万円)はダート部門でも成功を収めており、BCディスタフを制した産駒マルシュロレーヌの衝撃は記憶に新しい。
 ブリーダーズ・スタリオン・ステーションでは、コパノリッキー(受胎150万円)、マテラスカイ(受胎100万円)といったあたりが人気を集めており、アロースタッドでは、芝ダートともこなせる二刀流のモズアスコット(受胎250万円)が次代のエース候補と言えるのではないか。レックススタッドでは、ダートG1/Jpn1・5勝のゴールドドリーム(受胎条件150万円)が2年連続180頭を超える牝馬を集め人気種牡馬になっている。
 これらダート種牡馬が台頭したのはここ5、6年余りのことで、かつては社台スタリオンステーション繋養の一部種牡馬を除けば、ダート種牡馬の種付料には上限80万円の壁があった。17年3月の「日高便り」に当時の人気種牡馬の種付料を記載した部分があったので、以下そのまま引用してみる。

 『ダート部門で首位となったゴールドアリュールの本年度の種付料は、受胎300万円と、種牡馬成績に相応しい価格設定がなされているが、ダート種牡馬の種付料のボリュームゾーンは、受胎50~80万円あたりにある。ヴァーミリアン(受胎50万円)、エスポワールシチー(受胎50万円)、カジノドライヴ(受胎80万円)、シニスターミニスター(受胎80万円)、スマートファルコン(受胎50万円)、プリサイスエンド(受胎50万円)、フリオーソ(出生50万円)、ベルシャザール(受胎50万円)といったところが該当する』

 種付料の格差にある意味驚くのだが、これがほんの5、6年前のダート種牡馬の種付料の相場なのだ。上昇を続ける地方競馬の賞金、セリ市場における売却率と売買価格の上昇、サラブレッドを購入する馬主層の増加など諸々の要因が好循環となって産地を潤し、かつては低価格帯でしのぎを削っていたダート種牡馬の種付料の上昇を今に引き起こした。
 24年には3歳ダート三冠(羽田盃、東京ダービー、ジャパンダートクラシック=旧ジャパンダートダービー)をJpn1とし、周辺のレース体系も整備したダート競走の新路線が始まる。ダート競馬に新たな指針が与えられ、それに向けた配合や生産が行われることとなり、ダート種牡馬の需要は今以上に高まるに違いない。
 種牡馬に関わる仕事をしている私にとっては、大変嬉しいことなのだが、ほんの5、6年で激変したダート種牡馬界にある種の戸惑いも感じながら、各社の発表した種付料一覧を眺めている。

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