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2010年12月24日

大健闘で道営競馬終了

2歳戦など一層の情報発信を

北海道事務所・遠藤 幹

 道営競馬は11月18日、本年度の80日間の開催を終了した。発売総額は112億9224万円と前年実績をやや下回ったが、昨年は開催日数が1日多かったことを補正して1日当たりの発売額を比較すると、対前年比99%と、1ポイントのダウンにとどまった。JRAや他の地方競馬主催者の発売総額が大きく対前年割れを記録しているなかでは、この成績は大健闘といっていいだろう。
 発売総額の中身を分析してみると、北海道内や他競馬場での売上は対前年比10%程度のダウンとなったのに対し、「ネット・電話投票」は前年比6%アップを記録し、発売額全体の半分に迫る55億4000万円(49%)を占めるまでになった。
 「門別本場」の発売額は4億6700万円ほどで全体の4%を数えるだけ。「本場」での発売総額の比率が小さく「ネット・電話投票」の比率が大きいのが道営競馬の特徴となっている。
 10月6日に、北海道知事が道議会で来年度以降も競馬開催を存続する方針を示したものの、見通しは予断を許さない。だが、主催者の努力に加えて、産地関係者のさまざまな支援が実を結んで、知事の競馬存続発言となったことを素直に喜びたい。
 道営競馬は、軽種馬団体から民間ボランティアにいたるまで、さまざまな団体から有形無形の支援を受けているが、こんなに恵まれた競馬主催者は他の地域にはないと断言できる。
 種牡馬所有者団体であるJBC協会は、種牡馬種付権利を優勝馬に提供する「スタリオンシリーズ」を平成12年から実施し、他競馬場での道営競馬発売枠の確保に大きな役割を果たした。また、新スタンド内の大型ターフビジョンや、スタンド隣接地に新規造成した駐車場を主催者に寄贈し、迫力ある映像と利便性もファンに提供している。そのほか、JBC協会の主導で種牡馬事務局会社から募った基金を活用して20馬房の振興厩舎を建設寄贈するなど、これまでのJBC協会関連の道営競馬支援事業を金銭に換算すると、その額はなんと20億円を超える。
 ホッカイドウ競馬支援室のスタッフも、仮想オーナーゲーム「サポーターズクラブ」を立ち上げて数多くの競馬ファンを道営競馬に呼び込んだほか、関東、関西地域のスポーツ紙や南関東の専門紙に道営競馬の馬柱を掲載することで、発売額の拡大を図るよう関係者へ提言した。この提言は、競馬団体からの資金援助を得て実行に移され、「ネット・電話投票」の売上増大にダイレクトに結びついている。
 そのほかにも多彩な応援キャンペーンを手掛けるなど、道営競馬の発売拡大へ向けて実効性のある数多くの取り組みを行って獅子奮迅の活躍を見せた。
 さて問題はこれからだ。来年以降の売上拡大のための取り組みに、今後の道営競馬の命運がかかっている。資金的に苦しい以上、ポイントを絞った有効な発売拡大策をいかに取っていくかだと思うが、主催者側はどこまで真剣に次年度以降の取り組みを考えているのだろうか。前述した通り、発売額に「伸びしろ」があるのは、「ネット・電話投票」であるが、競馬ファンに道営競馬の情報をさらに提供するための方策を、もっと真剣に考えるべきだろう。
 道営競馬といえば2歳戦といっていいくらい、レベルの高い2歳戦が開催されている。通年開催が不可能なため、シーズン終了と同時に他地区に転出する馬が多い結果、2歳戦に特化した競馬になってしまったのだが、その代わり、地方では最もレベルの高い2歳戦が行われているのは間違いない。地方最高レベルの2歳戦という「最大の売り商品」についても、まだまだ発信力が弱いのではないか。2歳戦が組めなくて出走馬集めに青息吐息の地方競馬もあるなかで、このセールスポインをもっとPRしていく必要があるはずだ。
 道営競馬最終日の2日前、私は娘二人を連れて門別競馬場を訪れた。さすがに夜の競馬は肌寒く、競馬観戦に適したシーズンはすでに終わった感があったが、競馬好きの娘二人はそれでも大いに楽しんでいたようだ。パドックで周回する馬から応援する馬を選ばせ、私が少額の単勝馬券を購入して、レースを間近で見ようとゴール前の外ラチ沿いに立って観戦した。蹄の音、馬の息遣い、騎手のステッキの音がはっきり聞こえ、疾走する競走馬は目の前をあっという間に通り過ぎて行った。
 ひんやりした風が流れる人影まばらなスタンドを背に、2.5倍のオッズではあったが娘の予想が偶然的中し、本人は大喜びだった。今年は家族で出かける機会がとれなくて久しぶりの小さな家族サービスだったが、子供たちに大喜びをしてもらい、私自身は道営競馬に少し助けられた感じがした。

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