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2009年2月1日

種付シーズン、始まる

広告と展示会で配合申し込みを競う

北海道事務所・遠藤幹

 2月になればいよいよ種付シーズンの到来である。 繁殖牝馬に長時間電灯を照射して発情を促す 「ライトコントロール法」 が定着したことなどもあって、 馬産地では種付シーズンが一昔前より1カ月余り早くなった感がある。
 私の勤務先ブリーダーズスタリオンステーションでも、 2月2日に本年第1号として、 グラスワンダーの種付が行われた。 正直なところ、 あまり早く種付すると、 出産が早まった場合、 種付年内に産駒が誕生する可能性も生じてきて、 血統登録の規定の面で大変な問題にもなりかねない。 そんなこともあって、 各種馬場とも安全ラインを見て2月10日の種付解禁を打ち出してはいるのだが、 気の急いたせっかちな生産者の方がたくさんいらっしゃるのも事実だ。
 一方この時期は、 どの種牡馬事務局も、 1頭でも多くの種付申し込みを獲得すべく、 豪華なカタログやリーフレットを作成して種牡馬のプロモーションに努めることになる。
 私どもでも、 全繋養種牡馬を掲載した総合パンフレットや新種牡馬ごとの個別リーフレットを作成し、 ダイレクトメールとして馬主や生産者の方々に送付している。 ほかにも私ども営業マンの顔写真入り種付料一覧表や、 種馬場で配るスタリオンカードなども用意して、 種牡馬を印象付けるために、 可能な限り集中的にコマーシャルを行う。
 加えて、 競馬週刊誌にも毎号種牡馬広告を出稿し、 競馬四季報やスタリオンレビュー、 業界紙の 「馬事通信」 と別冊の種牡馬特集号、 ジェイエス発行の 「フューチュリティ」 などにも広告を打っていくことになる。
 おおよそ種牡馬1頭につき年間80万円から100万円前後の広告費用となるが、 種牡馬の種付料にもよるが、 1頭あるいは数頭の種付で広告費用の大半を回収できることでもあり、 やはり宣伝は大変重要である。
 ブリーダーズスタリオンで供用を開始した事務局の新種牡馬ブラックタイドを例に挙げれば、 ディープインパクトの全兄で重賞ウイナーであるのもさることながら、 広告に使用している立ち写真が大変素晴らしく (実馬が良いから当然ではあるが)、 広告宣伝効果を実感できるほど順調に配合申し込みを積み上げている。 プロモーションの効果は十分あったと思う。
 先頃、 広く配布された日本競走馬協会作成の2009年版種牡馬DVDは、 動くスタリオンレジスターというべきもので、 大変素晴らしいものが出来上がった。 各馬の動きや筋肉の柔らかさなどもつぶさに観察でき、 私などは、 自社他社の種牡馬を問わず、 うっとり見惚れてしまっている。 収録されたのは 「日本の種牡馬百選」 というべきものだけに、 どの馬も甲乙つけがたいほど素晴らしい。 かつての名馬ノーザンテーストやサンデーサイレンスなどの映像もあったらなあ、 と思ったりもする。
 このDVD事業は2年目ということもあって、 各種馬場とも1年目に収録された映像の反省を踏まえ、 撮影場所やスタッフの服装にも気を配り、 大幅に改善したのが見て取れる。
 とはいっても、 最終的に配合を決めるにあたっては、 種牡馬展示会で実馬を見るのが一番である。 馬体の大小は測尺ではわからず、 また種牡馬自身が醸し出す存在感や雰囲気などは、 実際に馬を見てみないとわからない。 展示会で馬体の良さをアピールし、 配合申し込みを増やす種牡馬も多い。 やはり百聞は一見に如かずということだろう。
 そういった大変貴重な機会でもあるので、 種馬場としては、 より良い状態で展示会に臨めるよう、 十分な時間をかけて種牡馬のコンディションを整え、 日々の手入れを綿密に行ったうえで展示することとなる。
 展示会で種牡馬をより良く見せることと、 パンフレットで血統や競走成績、 産駒成績をアピールして印象付けること、 この2本立てが種牡馬のプロモーションの基本である。 実績馬や鳴り物入りで導入された新種牡馬なら種付申し込みを集めるのは容易ではあるが、 当然ながら種付料は高額になってしまう。 配合する馬主や生産者の方にも予算があるわけだから、 馬の実績、 実力に比して割安な馬に狙いを定めてくる。 配合の妙というものは確かにあり、 種牡馬選びは生産の根幹として大変重要なものとなる。
 テレビや新聞を見れば、 「100年に一度の大不況」 の文字や、 赤字に転落する大企業、 札幌の老舗デパートの倒産など、 大変気の重くなる話ばかりが目立つ昨今だが、 種付シーズンが佳境に入れば、 あわただしく日々を過ごすなかで不景気な話もほとんど気にならなくなる。 とにかく今年も1頭でも多くの配合牝馬を集めたいと思う。

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