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2014年2月25日

今年の新種牡馬はハイレベル

社台の大物3頭vs日高の実績馬

北海道事務所・遠藤 幹

 2月5日、日高町のブリーダーズスタリオンでシーズン最初の種付が行われた。種付第1号は種牡馬ヴァーミリアン。昨年暮れに社台スタリオンから転厩し、すでに種付申込みが満口となっている人気種牡馬だ。悠然と種付場に登場したヴァーミリアンは、あっという間に自分の仕事を終えると、何ごともなかったように厩舎に戻っていった。今年はステイゴールドが3年ぶりに帰厩したこともあって、繋養種牡馬全19頭で配合数も1000頭を超える忙しいシーズンになりそうで、人馬とも本格的なシーズンに備えて準備を整えている。
 馬産地全体を見渡しても、本年供用を開始する種牡馬は、近年まれに見るハイレベルだ。最大手の社台スタリオンに年明け2頭のチャンピオンホースが相次いでスタッドインしたこともあって、なおさらその印象が強い。
 新種牡馬のすべてを紹介するには紙数が足りないが、主な種牡馬を紹介するなかで、種牡馬間の戦いがすでに始まっていることをお伝えしたい。
 まずは社台スタリオンに入厩した新種牡馬から。
 オルフェーヴル(6歳・種付料=受胎600万円)。言わずと知れた凱旋門賞2着2回の3冠馬である。父ステイゴールドの後継種牡馬として、全兄のドリームジャーニーともども、その血の拡張を図る。種付料発表とほぼ同時に受付終了。私どもの会社での申込み分もそうだが、発表前から種付申込みが殺到していた証拠である。
 続いて近年最強のスプリンター、ロードカナロア(6歳・種付料=受胎500万円)。現役最終戦の香港スプリントでの5馬身差の圧勝劇が記憶に新しい。父キングカメハメハの後継種牡馬として、またその血にサンデーサイレンスを持っていない配合における幅の広さも、人気を集める要因のひとつとなっている。
 もう1頭の注目種牡馬はノヴェリスト(5歳・種付料=受胎400万円)だ。モンズーンを父に持つドイツ産馬で、キングジョージをレコードタイムで5馬身差圧勝し、サンクルー大賞、バーデン大賞などにも勝った欧州中長距離での最強馬。こちらもサンデー系牝馬との配合を念頭に置きながらの種牡馬入りである。
 日高勢でまず取り上げたいのは、導入直後に大ブレイクを起こしたヘニーヒューズ(父ヘネシー・11歳・種付料=受胎180円・優駿スタリオン繋養)だ。すでにケイアイレオーネやヘニーハウンドがダートで活躍していて、その種牡馬能力は実証済みだったが、朝日杯FSをアジアエクスプレスが勝利するに至って、その人気はさらに沸騰。余勢は発表間もなく満口となり、シーズン株にプレミアムがついて取引されたとも聞く。
 ダーレーには、ハードスパン(父ダンジグ・10歳・種付料=出生400万円)と、モンテロッソ(7歳・種付料=出生150万円)の2頭がスタッドインした。ハードスパンはケンタッキーダービーとブリーダーズカップ・クラシックではともに2着に惜敗したものの、7ハロンのGI・キングスビショップSに優勝した。モンテロッソはドバイ・ワールドCの勝ち馬。父ドバウィは、早逝したドバイミレニアムの後継種牡馬で、すでに数多く重賞勝ち馬を輩出していて、その種付料は100万ポンド(1600万円)と高額だ。
 ブリーダーズスタリオンには、ストロングリターン(8歳・種付料=受胎30万円)とローズキングダム(7歳・種付料=受胎30万円)の2頭も新たにラインアップに加わった。ストロングリターンは、安田記念を日本レコードで制したシンボリクリスエスの後継種牡馬。その雄大な馬格も本馬の魅力のひとつだ。ローズキングダムは父キングカメハメハ、母系は活力ある「薔薇一族」で、朝日杯FS、ジャパンカップを制した能力は高く評価されている。馬体の美しさも折り紙つきで、すでに数多くの種付申込みが寄せられている。
 そのほかGIレースを勝った種牡馬を紹介すると、エイシンフラッシュ(父キングズベスト・7歳・種付料=受胎150万円・社台スタリオン繋養)、エスポワールシチー(父ゴールドアリュール・9歳・種付料=受胎50万円・優駿スタリオン繋養)、ロジユニヴァース(父ネオユニヴァース・8歳・種付料=受胎50万円・優駿スタリオン繋養)といった顔ぶれが並ぶ。いずれも一時代を築いた名馬だが、なにせライバルも多い。
 種付が始まった今、まずはどれだけ配合牝馬を確保できるか否か、種牡馬同士の勝負はすでに始まっている。

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