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2021年2月25日

熾烈を極める種牡馬導入競争

北海道事務所・遠藤 幹

 まだ正確な数を把握していないが、今シーズンの新供用種牡馬の数は昨年以上の頭数に達しているのかもしれない。昨年秋から今冬にかけて、前年に引き続き種牡馬導入の大変盛んなシーズンとなった。コロナ禍の中にあっても、競馬は切れ目なく開催されており、業態でばらつきはあろうが馬主様の経済状況もまずまずであり、馬の取引も例年以上に活発であった。そういったバックグラウンドもあり、血統の更新=新種牡馬導入も各地区で活発に進められたように思う。
 私の所属するブリーダーズ・スタリオン・ステーションでも2頭の新種牡馬の導入が決まったが、例年より大きくずれ込んだ1月に、2頭のシンジケートを大急ぎで組み上げることとなった。
 米三冠馬アメリカンファラオの産駒のフォーウィールドライブ(受100万円)の導入が正式発表されたのは、1月26日である。2歳時にBCジュヴェナイルターフスプリントを制したこの快速馬は、実際の話、12月中旬までは現役競走馬であった。年末年始休業が明けてから縁あって弊社が本馬を購入することとなり、日にちがない中で売買契約の締結とシンジケート結成、そして種付料の発表と申し込みが同時に行われた。種牡馬として供用開始となるのは3月中旬頃になるのだが、シンジケートの結成も余勢種付けの申し込みも、発表後の3、4日で満杯となる盛況ぶりで、これにはお申し込みをくださった皆様に感謝の言葉しかない。
 天皇賞(春)を始めG1・3勝のフィエールマン(父ディープインパクト・受200万円)の引退が正式に発表されたのは、1月6日であった。シンジケート募集要項の発表が7日、シンジケート結成作業に一区切りがついたのが12日、本馬の入厩が14日という慌ただしさである。種付け申し込みも結構な数に上った。長年、種牡馬導入並びにシンジケート結成に携わっているが、年が明けてからの短期間で相次いでシンジケートを結成したのは初めてのことだったように思う。

 以下、各種馬場における新種牡馬導入の動きを駆け足で見ていきたい。
 最大手の社台スタリオンステーションでは、ナダル(受400万円)、シスキン(受350万円)、サートゥルナーリア(受600万円)、アドマイヤマーズ(受300万円)、ルヴァンスレーヴ(受150万円)の5頭が新たにラインナップに加わった。
 ナダルはロベルト系種牡馬ブレーム産駒で、アーカンソーダービー(G1)優勝馬。シスキンはアンブライドルズソング産駒のファーストディフェンスを父に持ち、愛2000ギニーなどG1・2勝の実績を持つ。サートゥルナーリアは成功種牡馬エピファネイア、リオンディーズの半弟(父はロードカナロア)で、ホープフルSと皐月賞に優勝している。種付料の設定にこの馬にかける関係者の意気込みが窺えるが、引退発表と同時に種付け申し込みが殺到して満口となった。アドマイヤマーズはダイワメジャーを父に持ち、香港マイルを始めG1・3勝を挙げたトップマイラー。シンボリクリスエス後継のルヴァンスレーヴは、チャンピオンズCを始めダート戦での活躍が記憶に新しい。こちらも既に種付け申し込みは満口である。
 門別地区のダーレー・ジャパン スタリオン コンプレックスには、タワーオブロンドン(父レーヴンズパス・出150万円)がスタッドインした。スプリンターズSを始め短距離で示した強烈なスピードが今も印象に残る。
 新冠地区のビッグレッドファームにはステイゴールドを父に持ち、香港のG1に2勝しているウインブライト(受120万円)がスタッドインした。優駿スタリオンステーションにはスキャットダディ産駒の高松宮記念勝ち馬ミスターメロディ(受100万円)が種牡馬入りし、こちらの種付け申し込みも既に満口である。
 静内地区に目を転じると、日本軽種馬協会では名種牡馬フランケルの全弟ノーブルミッション(受150万円)を導入した。英チャンピオンSなどG1・3勝の実績を誇る。アロースタッドには皐月賞馬エポカドーロ(父オルフェーヴル・受50万円)、芝・ダートの両G1(安田記念とフェブラリーS)を制したモズアスコット(父フランケル・受200万円)が導入された。モズアスコットは血統的な魅力と芝・ダート兼用の万能性が評価され、種付け申し込みも早々と満口になったと聞く。レックススタッドにはゴールドアリュール後継のダート王ゴールドドリーム(受100万円)が1月にスタッドインした。チャンピオンズCを始めダートG1/Jpn1・5勝の実力馬。こちらの種付け申し込みも早々と満口となった。もう1頭、JBCスプリントの覇者ブルドッグボス(父ダイワメジャー・受80万円)も同時期にスタッドインしている。
 浦河地区のイーストスタッドにも京都新聞杯の勝ち馬スマートオーディン(父ダノンシャンティ・受20万円)など5頭の種牡馬がスタッドインしており、早来から浦河までの主要種馬場では、今回紹介し切れなかった馬も含めて計25頭もの新種牡馬がこの春から供用を開始する。繁殖牝馬数が大きく増えていない現状にあっては、既存の種牡馬との競合も激しく、いわば牝馬の奪い合いが激化するのは必至である。昨年から始まった「ポスト・ディープインパクト&キングカメハメハはどの馬だ!?」を探し求める競争は果てしなく続く……。

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