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2026年4月24日

バタバタな日々

北海道事務所・遠藤 幹

 12月は和風月名で「師走」。軽種馬業界に限らず何かと気ぜわしく、慌ただしい日が続く。しかし、私どもの会社(㈱サラブレッド・ブリーダーズ・クラブ)のメイン業務である「種牡馬の管理運営」に関していえば、12月(新種牡馬の入厩・シンジケート結成・プロモーション準備)のみならず、1月(試験種付け・種牡馬展示会準備・パンフレット発送)や2月(展示会開催・種付け業務開始)も時間に追われ、文字通りバタバタと日々が過ぎていく。
 12月からの私にとって最大の「バタバタ」となったのは、2月6日に行われたブリーダーズ・スタリオン・ステーションの種牡馬展示会だった。強風で体感温度も低い、真冬らしい寒さの中での開催となったが、500名を超える関係者にご来場いただいた。新種牡馬3頭の紹介では、オーナーや管理調教師の方々から門出の挨拶をいただき、まずは私がマイクを握って滞りなく説明を終えた。ところが……2番手でマイクを持った社員の音声が、途中で突然途切れてしまった。機材は3年前に更新したばかりで、前日に設置し、電池も新品に交換、リハーサルも実施しており問題点はなかったはずである。それなのになぜか。突発的な事態に、ケーブルの接続部など確認できる箇所を点検したが改善しない。社員も、せめて登場する馬だけは伝えようと馬名を大声で叫ぶ。どれほど時間が経っただろうか。終盤になって予備の有線マイクをアンプに接続し、ようやく事なきを得たが、まさにバタバタの展示会となり、正直悔しさが残った。
 展示会後に、会社で再テストを行ったが、異常は再現されない。そんな中、社員の一人が取扱説明書の記述に気づいた。風切り音を低減するダイヤルが最大設定になっており、強風下ではマイクが自動的にオン・オフを繰り返す状態だったようなのだ。思わず脱力したが、原因が判明しただけでも救いではあった。幸いにも新種牡馬の評価は大変高く、展示会当日と翌日だけでソウルラッシュとソールオリエンスはそれぞれ10件を超える余勢種付けの申し込みがあった。バタバタの中でも報われた瞬間である。
 2つ目の「バタバタ」は、3月の種付けシーズンに入ってからも、新たな種牡馬が相次いで加わったことだ。シーズンインしてから、バタバタと新種牡馬の入厩が続いたことはあまり記憶がない。3月7日にアロースタッドに入厩したのは、2024年のフェブラリーS優勝馬ペプチドナイル(父キングカメハメハ)。今年のフェブラリーSでの6着を最後に引退し、受胎条件50万円で供用される。さらに3月15日にはリオンディーズの後継としてテーオーロイヤルがイーストスタッドに到着。天皇賞(春)をはじめ長距離で実績を残した本馬は、特別価格40万円(受胎条件)でのスタートとなった。
 そして、ビッグレッドファームが導入したローレルリバーも注目の存在だ。3月24日に到着し、シンジケートメンバーに披露されたその馬体は、すらりとした首差しと均整の取れたシルエットが印象的で、本馬の父である米国チャンピオンサイアー・イントゥミスチーフを彷彿させる。ドバイワールドカップの圧勝劇でレーティング128を獲得した本馬は、受胎条件250万円の設定。ビッグレッドファームの豊富な繁殖牝馬群との配合により、遅れを一気に取り戻すだけの種付数が見込まれる。今年は新種牡馬の絶対数がやや少ない印象だったが、3月の相次ぐ種牡馬入りで陣容が揃った感がある。
 3つ目の「バタバタ」は、種付け開始時期の前倒しである。今年も2月1日に予約が入った。準備が整っていないことや、早期受胎による年内出産のリスクを考慮し、丁重にお断りした。それでも人気種牡馬ほど早期の種付けが好まれる傾向は強く、年々2月の種付け実施件数は増えている。実際、展示会翌日の2月7日には今季第1号の種付けが行われた。
 15年、20年、25年のブリーダーズ・スタリオン・ステーションの種付けデータ(下表)で検証してみたい。

総種付数 2月の種付数(割合) 種付数が総数の半分に到達した日
2015年 1324頭 78頭( 5.9%) 4月18日
2020年 1054頭 102頭( 9.7%) 4月12日
2025年 1456頭 174頭(12.0%) 4月10日

 一目瞭然、年々種付けは前倒しになり、総種付数の半数に到達する日も早まっているのだ。馬産地でも春の訪れは早まり、ライトコントロールなど発情を促す技術も普及した。牝馬の状態も良好で、かつて懸念された早期種付けによる再発率の高さも、今では大きな問題とはされていない。
 それでも、生産界の流れとはいえ、種付け時期の前倒しや人気種牡馬への種付けの集中など、バタバタの中で配合シーズンは幕を開け、そのまま繁忙期へと突入する。種牡馬もスタッフも全力で臨むハイシーズンは6月上旬まで続く。

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