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2022年2月25日

種牡馬の人気から未来を予測する

北海道事務所・遠藤 幹

年が明けるとお産も始まる。私の住まいの近所の牧場でも、ぽつりぽつりと当歳馬が誕生しているようだ。寒さが大変厳しい時期ではあるが、仔馬の無事の成長を願うばかりだ。種馬場では、新種牡馬が試験種付けに挑んでいる。スタッフは、それぞれの馬にきちんと仕事を教え込むと同時に精子数やその活力もしっかりと検査し、目前に迫ったシーズン本番に備えている。
 年末は多士済々ともいうべき新種牡馬の導入ラッシュが続いた。好調な馬産地経済を背景に、生産馬の質をさらに高めていきたいという生産者の皆さんの情熱がほとばしる。ディープインパクト、キングカメハメハ不在の種牡馬界において、次の絶対的なエースを求める宝探しゲームは佳境を迎えようとしている。2021年のサイアーランキングの上位20傑のうち、現役バリバリと言える種牡馬は11頭余り。既にこの世を去っていたり老齢で配合数に限界があったりする馬も上位陣には多い。成績がまだ十分花開いていない次世代の種牡馬群に狙いを定めて配合を考えるにしても、種付料との兼ね合いで様々な折り合いもつけていかなければならない。
 21年の種付頭数が公表されている中で、そこから見える次代のチャンピオンサイアーを探ってみたいと思う。と言いつつ、既にポスト・ディープインパクトの座は、この数年のうちにキズナ(195頭=21年の種付数。以下同)、エピファネイア(218頭)、ロードカナロア(157頭)の3頭のうちの1頭、あるいは複数がチャンピオンの座につくことになるだろう。それぞれ素晴らしい産駒を送り出しており、ロードカナロアはサートゥルナーリア(205頭)など後継種牡馬も出している。いずれも社台スタリオンステーション繋養馬であり、世界の首位を走る社台グループ繋養種牡馬の中からリーディングサイアーが誕生し続けることは既定路線のようにも思える。まだ産駒がデビューしていないが、サトノダイヤモンド(134頭)、ブリックスアンドモルタル(180頭)やレイデオロ(170頭)、新種牡馬のコントレイルなどは、おそらく数年後にはランキング上位あるいはランキングトップとして絶大な人気を集めるに違いない。
 日高地区繋養のディープインパクト直仔の後継候補としては、昨年の2歳戦での活躍が華々しかったシルバーステート(138頭)を筆頭に、アルアイン(108頭)、フィエールマン(107頭)らに期待が集まる。シルバーステートの潜在能力の高さを評価する声は、以前より数多く聞こえていたが、その指摘が見事に的中した格好だ。雄大な馬格も確実に産駒に継承されており、今後の更なる活躍が大いに期待できるだろう。
 ダート種牡馬の陣容もこの数年で大きく変化しレベルアップが著しい。ヘニーヒューズ(117頭)が何と言ってもその代表格だ。鎧のような筋肉をまとったそのパワフルなボディは、アジアエクスプレス(134頭)やモーニン(178頭)にも受け継がれ、ヘニーヒューズ系は優駿スタリオンステーションがほぼ独占的に繋養している。テーオーケインズを送り出したシニスターミニスター(106頭)にも改めて人気が集中するだろうし、芝ダート兼用のオルフェーヴル(157頭)やリオンディーズ(149頭)にも注目が集まるものと思う。ダート界のサンデーサイレンスともいうべきゴールドアリュールの後継としては、ゴールドドリーム(212頭)、コパノリッキー(130頭)、新種牡馬クリソベリルなどが存在し、こちらも大変層が厚い。社台スタリオンステーションにはシンボリクリスエスの後継ルヴァンスレーヴが昨シーズントップの223頭もの配合をこなし、大いに気を吐いている。
 もう一つ、最近人気を集める系統に、日本で競走実績のある外国産馬がある。ベストウォーリア(126頭、父マジェスティックウォリアー)、モズアスコット(167頭、父Frankel)などがそうだ。新種牡馬マテラスカイ(父Speightstown)も昨年暮れには余勢が満口となる人気ぶりだ。日本産馬が強くなった今、なじみの薄い外国産種牡馬を配合するより、同じ外国産でも日本の競馬に実績のある種牡馬の方が、産駒の能力を予測しやすく、血統的にも配合しやすく、かつ馬主様にも売りやすいということだろう。
 ベスト・トゥ・ベストが配合の王道ではあるし、遺伝学的にもそれが成功への最短の道だとは思う。しかしその一方で米国年度代表馬に輝いたニックスゴーのように、韓国馬事会の血統研究の成果から発掘されたスペシャルホースも存在する(種牡馬として成功するか否かは別問題なのだろうか)。奥行きの深い種牡馬界にあって、成功種牡馬を単純な方程式で求めることはできない。日々血統表と向き合いながら、地道に配合を検討し交配した結果を見定め続ける努力と辛抱が要求されるのだ。配合は本当に難しい。

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