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馬産地往来

2024年6月25日

未来に語り継ぎたい名馬

後藤 正俊

 JRA発行の雑誌『優駿』誌上で、JRA70周年記念特別企画「第3回未来に語り継ぎたい名馬BEST100」が実施されている。投票は6月10日に締め切られており、結果は8月23日発売の『優駿』9月号で発表される。同企画は2010年、15年に続いて3回目。10年のベスト5はディープインパクト、ウオッカ、ナリタブライアン、オグリキャップ、シンボリルドルフ、15年はディープインパクト、オルフェーヴル、オグリキャップ、ウオッカ、サイレンススズカだった。第2回から9年が経過したが、ディープインパクトが3回連続首位となるのか、アーモンドアイやイクイノックスらこの9年間に活躍した名馬たちが追い上げてくるのか、結果発表が待ち遠しい。
 このような「ファン投票」はネット投票が主になってきたこともあり、どうしても若い世代からの投票が中心になりがちで、結果もその投票年齢層が反映されるケースが多く見られる。だがこの「未来に語り継ぎたい名馬」は、前回の投票でも16位シンザン、20位ハイセイコー、47位タケシバオー、50位キーストン、56位クリフジ、72位スピードシンボリ、75位トキノミノル、85位トウメイ、88位(タイ)タニノムーティエ、95位(タイ)タニノチカラと昭和40年代以前の活躍馬もランクインしている。さすがにクリフジやトキノミノルは現役時代をリアルタイムで見ていたファンではなく文献資料を参考にした投票が大半だったと思われるが、芝・ダート・短距離・長距離とオールマイティに強かった「四刀流」とも呼ぶべきタケシバオーをはじめ、スピードシンボリ、トウメイ、タニノチカラなど単に競走成績だけでなく個性的な輝きを放った名馬がランクインしているのを見ると、オールドファンもこの投票に多く参加していたのではないかと想像できる。前回ベスト100に入っていない名馬では、個人的にはカブトシロー、アローエクスプレス、メジロアサマなどに投票したいと思ったし、どのような名馬がいたのか記憶を辿る作業も実に楽しいものだ。
 この「未来に語り継ぎたい名馬」やJRAの「競馬の殿堂」(顕彰馬制度)は選定の基準が明記されているわけではないが、日本調教馬が対象で競走成績が重要視され、繁殖成績はあくまでも付加的要素に思える。だが「日本競馬の発展」という面では種牡馬成績、繁殖牝馬成績も競走成績と同様の価値があるはずだ。サンデーサイレンスは米国の競馬殿堂入りを果たし、ブラッドホース誌の20世紀のアメリカ名馬ベスト100にも入っているのに、日本で顕彰されていないのはおかしな話である。日本軽種馬協会は26年に設立80周年を迎える(設立当初は社団法人サラブレッド協会)。来年は日本軽種馬協会と改組されて70周年となる。また帝国競馬協会が軽種馬登録業務(現在はジャパン・スタッドブック・インターナショナルが実施)を開始して100周年という節目でもある。これを機に、輸入馬を含めた種牡馬、繁殖牝馬を対象とした顕彰馬制度やファン投票もぜひ実施してもらいたいと思っている。
 種牡馬では、歴代の総合リーディングサイアー上位はもちろん、地方リーディングサイアー上位のテューダーペリオッド、ファラモンド、アラナス、ボールドコンバタント、フェートメーカー、ホスピタリティ、ミルコウジ、パークリージェント、ワカオライデン、アジュディケーティング、サウスヴィグラス。ブルードメアサイアーとして活躍したトサミドリ、ハクリョウ、ソロナウェー、ダイハード、ヴェンチア、ファバージ、マルゼンスキーなど、すぐに100頭以上が挙げられる。繁殖牝馬も近年ならウインドインハーヘア、シーザリオ、パシフィカス、ダンシングキイ、エアグルーヴ、スカーレットブーケ、アグネスフローラ、ハルーワスウィートなど、昭和ならスターロッチ、ソシアルバターフライ、イットー、タニノチェリなど、こちらも次々に思い浮かぶ。馬産地の長老ならシアンモア、トウルヌソル、ダイオライト、セフト、クモハタなどの種牡馬、フリッパンシー、アストラル、トキツカゼなどの繁殖牝馬を実際に見たことがあるかもしれない。
 多世代の競馬関係者、競馬ファンが選定を楽しめるような企画を、できるだけ早くに実現してもらいたい。

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