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馬産地往来

2006年8月1日

「苫小牧」が世界に認知される日

ダーレーの本格参入が意味すること

後藤正俊

 6億円馬 「トゥザヴィクトリーの2006」(牝)の登場を筆頭に、 今年のセレクトセールもサプライズの連続だった。 復活した1歳市場も好調で、 セレクトセールが日本の馬産界にとって、 ますますなくてはならない存在として認知されてきたことを感じさせた。 今後も日本のサラブレッド取引は、 セレクトセールを中心に動いていくことになるはずだ。
 もうひとつ衝撃的だったのは、 ダーレー・ジャパンが本格的にセレクトセールに参入してきたことだった。 高額馬の落札は、 1歳では 「マイケイティーズの2005」 (牡=9600万円)、 当歳は 「ブルーアヴェニューの2006」 (牡=3億円) と 「マストビーラヴドの2006」 (牡=1億4000万円) の3頭だけではあったが、 「トゥザヴィクトリーの2006」 も最後まで競り合ったように、 注目馬のセリに積極的に参加していた。
 これまでもサンデーサイレンス産駒などをこのセールで購買するなどしていた“ゴドルフィン”だったが、 これほどの本格的な参戦は初めてだし、 サンデーサイレンス産駒以外に興味を持ったということも驚きだった。
 JRAでの馬主資格取得を目指しているダーレー・ジャパンにとって、 「日本馬も積極的に購買している」 というアピールがあるのかもしれないが、 日本競走馬協会の吉田照哉会長代行兼副会長は、 次のように分析する。
「ゴドルフィンが日本産馬の実力を素直に評価したのだと思いますよ。 それだけ今年の地元ドバイでのハーツクライ、 ユートピアの優勝は衝撃的だったのだと思います。
 これまでも日本馬は欧州、 香港などで活躍していましたが、 やはり目の前で強さを見せると考え方が変わってくるもの。 トゥザヴィクトリー産駒をあの高額まで競り合ったのも、 トゥザヴィクトリーがドバイワールドCで2着になったという、 牝馬としては最高の活躍をしていたという面がもっとも大きかったのだと思います。
 今年のゴドルフィンは成績不振で、 英国市場以外からの仕入れを考えていたこともあるのでしょう。 世界的な馬主は、 良い馬が出ていればどこへでも出かけていくものですから」
 実際にゴドルフィンはすでにユートピアのトレードに成功しているし、 一部では超大物サンデーサイレンス種牡馬の導入にも興味を持っているといわれている。 このセレクトセールだけではなく、“日本競馬”をターゲットに入れようとしていることが強く感じられる。
 世界最大の馬主が日本競馬に進出してくることは、 脅威であると同時に、 それだけ日本競馬が世界的に認められたことを証明している。 「世界に通用する馬づくり」 はこの半世紀、 日本競馬が求め続けてきたものだっただけに、 競馬関係者として感慨深いものがある。 また、 日本の馬産の将来にも大きな道が開けることになるだろう。
 キングジョージVI&クイーンエリザベスDSでは、 ハーツクライがハリケーンラン、 エレクトロキューショニストと壮絶な叩き合いを繰り広げ、 3着に敗れたとはいえ、 欧州競馬関係者に 「史上最高のキングジョージ」 と絶賛されるレースを演出した。 これまで米国調教馬ですら勝ったことがない“欧州の牙城”で、 日本産の日本調教馬があわやのシーンを見せたのだ。
 これは欧州だけでなく、 米国の競馬関係者にとっても衝撃だったことだろう。 そしてその牙城も、 凱旋門賞でディープインパクトが粉砕してくれる可能性が高い。
 吉田氏は、 「いまの段階でもセレクトセールは、“ディープインパクトを生んだセール”として欧米のホースマンに注目されていますが、 凱旋門賞を勝てばその注目度は飛躍的に高まるでしょう」 と予言している。 もしそれが実現できなかったとしても、 取引馬が世界的な活躍を続けていけば、 セレクトセールの名は着実に高まっていく。
 キーンランド、 ニューマーケットに続くセリ会場として 「TOMAKOMAI」 (苫小牧) が世界的に認知される日も、 そう遠くはなさそうだ。

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