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馬産地往来

2006年12月1日

「パート国」としての今後

新時代の日本競馬の幕開けだ

後藤正俊

日本競馬の念願だった 「国際セリ名簿基準ブック」 のパート国入りが承認された。 これによって07年度から、 すでに国際格付けを得ている13競走を含めて60競走の重賞が国際格付けを得ることになった。 さらに地方交流重賞も含めた日本の主要218競走が世界中のセリ名簿の血統表に記載されて、 優勝馬は太ゴシック、 2、 3着馬はゴシックで記入される。 はもちろんのこと、 生産者にとっても日本産馬が国際競争力をつけるために大きな犠牲を払って取り組んできたことだっただけに、 喜びもひとしおだ。
 もちろんまだ課題はいろいろとある。 すべての重賞競走が国際格付けを得ているわけではないし、 中央と地方の二重構造という、 外国人には理解できない日本競馬の問題点も早急に解決していかなければならない。
 ディープインパクトやコスモバルクで問題になった禁止薬物や検疫の問題も、 いままで以上にグローバルスタンダードな視点で解消していかなければならない。 だがまずはパート国入りができたということを大前進として喜びたい。
 地方競馬が衰退を続けるなか、 日本の生産者が生き残っていくためにはアジアを中心とした海外への輸出促進が必須だっただけに、 今回のパート国入りは極めて大きなプラス材料だ。
 もちろん、 セリ名簿に 「ゴシック」 がいくら増えても実力が伴わなければまったく相手にされないが、 その面でも心配はない。 コスモバルクのシンガポール航空国際制覇、 デルタブルースとポップロックによるメルボルンでの1、 2着独占、 ハーツクライとディープインパクトの欧州最高峰レースでの健闘など、 日本産馬が海外のレースで活躍していることは周知のとおりだが、 これには育成調教レベルの向上も影響している。
 サンデーサイレンス産駒がついに不在になった今年の2歳戦で、 内国産種牡馬の産駒が大活躍をしている事実は、 日本産馬の血統レベルの向上を如実に示している。 阪神ジュべナイルフィリーズまでで2歳重賞は9レース行われたが、 このうち7レースを父内国産馬が制しているのだ。 12月3日現在の2歳リーディングサイアーランクは次のようになっている。
 ①スペシャルウィーク
 ②アグネスタキオン
 ③サクラバクシンオー
 ④ダンスインザダーク
 ⑤アドマイヤコジーン
 ⑥タニノギムレット
 ⑦フレンチデピュティ
 ⑧クロフネ
 ⑨マンハッタンカフェ
 ⑩タイキシャトル
 この10頭のうち、 1~6位を含め7頭が内国産種牡馬で、 外国産馬3頭のうちクロフネとタイキシャトルは日本調教馬。 「輸入種牡馬」 はフレンチデピュティ1頭だけなのだ。 しかも活躍している内国産種牡馬は決して早熟なタイプではない。
 スペシャルウィーク、 ダンスインザダークはもちろん、 新種牡馬のタニノギムレットとマンハッタンカフェもどちらかといえば奥手のステイヤータイプで、 2歳戦がベストではない。 それでも2歳戦でこれだけの成績を残しているのは、 ポテンシャルの高さからといえる。
 確かにサンデーサイレンス1頭だけは別格な存在だったが、 その他の輸入種牡馬なら内国産種牡馬、 日本調教種牡馬のほうが上位であるとはっきりいえるだろう。 もちろん、 これは日本での成績だけに日本の競馬、 馬場への適性の高さという点もあるが、 豪州にシャトルされていた日本産種牡馬の産駒も着実に成績を伸ばしてきている。
 来年度からは、 06年度には3億1100万円の予算で支給されていた父内国産馬奨励賞が廃止される。 父内国産馬限定競走も廃止こそ免れたがレース数は半減され、 近い将来には廃止されることが確実だ。
 07年から供用される輸入種牡馬にはロックオブジブラルタル、 ファンタスティックライト、 デビッドジュニアなど超大物が数多く登場する。 パート国入りで日本のレースを狙ってくる外国馬も多く現れるだろう。
 状況は厳しさを増していくが、 それでも日本馬、 父内国産馬は互角以上に立ち回っていけるに違いない。 07年は新しい日本競馬の幕開けを予感させる。

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