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馬産地往来

2010年8月25日

成熟度を感じた7月のセール

今後の課題は当歳セールの在り方

後藤 正俊

 7月12、13日に苫小牧・ノーザンホースパークで開催された「セレクトセール2010」、翌週の20、21日に新ひだか町・北海道市場で行われた「セレクションセール」の結果は、わが国の今後のセリ市の形態に影響を与えることになりそうだ。
 セレクトセール1歳市場の最高価格はディープインパクト産駒「アイルドフランスの2009」(牡)の6600万円。1歳セールで1億円馬が出なかったのは98年の第1回以来のことになった。06年に1歳セールが復活してからの最高価格は06年2億500万円、07年2億5000万円、08年2億4500万円、09年1億4500万円と、当歳セールほどではないにしても、「ミリオンホース」の登場がセレクトセールの名物だった。その「象徴」がなくなった最大の要因は依然として先が見えない経済状況が最大の要因なのだろうが、ほかにもいくつかの理由が考えられる。
 サンデーサイレンスという絶対的な存在がいなくなって購買者のターゲットが分散するようになったこと、牡馬の場合は将来の種牡馬としての価値が計算できなくなってきたこと、牝馬の場合は繁殖牝馬としての価値を考える長期的なスパンを描く余裕がなくなってきたこと、血統面全体のレベルが底上げされて個々の上場馬の差が少なくなってきたこと、などなど。
 また6月の宝塚記念を勝ったナカヤマフェスタは1000万円での取引馬だったのに対し、超高額馬は価格ほどの活躍を見せていないという「イメージ」が影響しているためかもしれない。あるいは、高度成長期から続いてきた「サラブレッド・バブル」がようやく落ち着いてきて、現実的な価格での取引が行われるようになってきたと見るべきなのかもしれない。
 セレクションセールはさらに地味で、最高価格は「ホクトペンダントの2009」(牡、父フジキセキ)で2700万円だった。
 だが売却率では両セールとも極めて優秀な成績を残した。セレクトセールは80.8%の過去最高値を記録。セレクションセールも57.6%で好調だった前年をさらに上回った。売却率8割突破というと、見ていてほとんどの馬が売れているような印象を受ける。この活発な雰囲気が、さらに購買意欲を駆り立てる好循環となった。
 この両セールに上場されてくる馬は、血統はもちろん、高いレベルの生産・育成技術で馬体は仕上げられているし、セリ馴致も徹底して行われており、ひと昔前はよく見られた放馬シーンや、イレ込んで暴れる馬がまったく見られない。購買者はレポジトリーも含めて納得がいくまで馬体を観察し、落ち着いた購買をしていた。上場者は良い馬を出せば必ず高く売れると確信しており、リザーブ価格も極力下げている。「価格は市場が決定する」という原則に忠実な、成熟したセールを感じさせた。
 また両セールとも会場の駐車場はこれまで見たことがない場所までいっぱいになっていた。購買者数の多さ、注目度の高さがここにも表れていた。
 一方、当歳セールは対照的な結果となった。セレクトセールは、1億円以上が2頭だけと例年のようなドリームセールにはならなかったものの、売却率は昨年を3ポイント以上アップする67.8%を記録。平均価格もほぼ昨年並みだった。
 セール終了後に吉田照哉副会長は「セリ前からの購買者の熱気は当歳セールのほうがすごかったですね。社会情勢を考えて今年から1歳を増やして当歳と1歳を同規模で開催しましたが、やはりセレクトセールから当歳は外せないと改めて感じました。当歳での取引は、欧米では普及していなくても、日本独自の文化になりつつあるのではないでしょうか」と話していた。
 だがセレクションセールの当歳市場は壊滅的な結果だった。81頭の上場で売却はわずか23頭。牝馬に至っては21頭の上場で3頭しか取引されなかった。平均価格の941万円は1歳セール(1087万円)よりも低い。上場者サイドにも「絶対にこのセールで売らなければならない」という意識がやや薄く、1歳セールに比べるとリザーブ価格も高めに感じられた。
 当歳取引の需要は確かにあるが、リスクやデビューまでの時間を考えると、求められている頭数はせいぜい年間300頭程度と考えられる。よほどの良血馬でなければ取り引きされないだけに、セールを成功させるためには良血馬を集めることがもっとも重要になってくる。
 それだけに同じ時期に当歳セールを2週続けて開催する日程は、今後見直しが必要になってくるかもしれない。


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