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馬産地往来

2017年4月25日

海外馬券発売が拓く可能性

後藤 正俊

 JRA春のG1戦線が3月26日の高松宮記念からスタートしたが、競馬ファンはその前日深夜から競馬ムードが大いに高まっていたことだろう。ドバイワールドカップデーの各レースに日本馬が計10頭出走し、そのうちドバイターフ、シーマクラシック、ワールドカップの3レースが日本で馬券発売されたからだ。
 日本馬の先陣を切ったゴドルフィンマイルのカフジテイク(牡5歳、父プリサイスエンド)は離れた5着に敗れたものの、ゴール前の鋭い末脚は根岸Sでファンを驚かせたのと同様の切れ味で、海外のダートコース適性を示した。続くUAEダービーは4戦不敗で臨んだエピカリス(牡3歳、父ゴールドアリュール=14年セレクトセール当歳2600万円)がゴール直前まで逃げ粘ったが、惜しくも2着。昨年のラニに続く日本馬連覇は成らなかったものの、日本の3歳馬レベルの高さを示し、日本競馬の大きな夢である米国三冠、ブリーダーズカップ制覇へ向けて一歩近づいた印象を与えた。
 そして迎えた馬券発売の3レース。その最初のターフでヴィブロス(牝4歳、父ディープインパクト)がやってくれた。降り続く雨で馬場はかなりぬかるんだ状態。切れ味が最大の武器であるディープインパクト産駒、しかも馬体重は410~20キロ程度の小柄な牝馬にとって、この降雨は最悪の条件に思われた。だが道中は内ラチ沿いの後方を追走してスタミナロスを防ぎ、直線に向くと一気に外に持ち出すJ.モレイラ騎手の好騎乗もあって、直線一気の追い込みを決めて快勝。昨年のリアルスティールに続く日本馬2連覇を達成した。2着エシェム(仏)に1/2馬身差、有力視されていた名牝ザルカヴァ産駒のザラック(仏)、ジャックルマロワ賞勝ち馬リブチェスター(英)を退けたのだから、世界にその名と父ディープインパクトの偉大さを知らしめた。
 シーマクラシックのサウンズオブアース(牡6歳、父ネオユニヴァース)は6着、日本馬4頭が出走したラストのワールドカップはアウォーディー(牡7歳、父ジャングルポケット)の5着が最高成績と日本勢は苦戦を強いられたが、テレビ観戦していたファンはその悔しさも忘れるほど、ワールドカップでのアロゲートの強さに酔いしれたのではないだろうか。スタートで挟まれて最後方からの競馬を余儀なくされたが、3~4角で一気に進出して直線は大外から余裕の差し切り勝ち。ダート世界最強馬の力を存分に見せつけるレースだった。
 これまでも日本馬が挑戦した凱旋門賞や、ドバイ、香港などの国際競走で、世界の歴史的名馬のライブ映像を見る機会は何度かあったと思うが、馬券を購入しているかどうかでその印象はまったく違うものになる。ラニが挑戦した米国三冠レースには1レースも出走していないアロゲートのライブ映像は、ブリーダーズカップクラシックを見ていたファンは多くいたと思うが、ぶっちぎったトラヴァーズSや世界最高賞金ペガサスワールドカップのテレビライブ中継はなかった。それでも研究熱心な日本の競馬ファンは、日本馬が4頭も出走していたドバイワールドカップでアロゲートを単勝1.2倍の圧倒的な1番人気に推した。これはウイリアムヒル社のブックメーカーのオッズ1.33倍を上回るものだった。
 熱心に馬券研究をした上でライブ映像を見るとその印象は強烈に残るものだし、テレビ解説で同馬の父アンブライドルズソングが2歳時のトレーニングセールで日本人馬主に一度は購買されたエピソード(骨折が判明し、後にキャンセル)も紹介され、なおさら親近感が湧いたファンも多かったと思う。何年後かにアロゲート産駒が日本でデビューしたら、競馬人気に大きく寄与することだろう。グランプリボスが3歳時に挑戦した英国・セントジェームズパレスSがもし馬券発売をされていたら、その時の勝ち馬フランケルへの注目度はいま以上に高まっていたのではないか。
 ドバイ3レースの日本での馬券売り上げは、ターフ5億7000万円、シーマクラシック6億3000万円、ワールドカップ13億8000万円で、計25億8000万円だった。昨年の凱旋門賞が41億9000万円、香港国際競走が4レースで計38億2000万円だったので、この売り上げをどのように評価するのか難しいところだし、馬場状態の発表方法などまだ課題はあるだろうが、海外競馬をより身近に感じ、それが「血統」を通して将来の日本競馬への興味を湧き立たせるという面で、単に売り上げ以上の大きな効果を生むことは間違いない。

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