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馬産地往来

2013年6月21日

馬名規定も国際スタンダードに

アルファベット18文字へ統一を

後藤 正俊

 第80回日本ダービーは、武豊騎手騎乗のキズナが、直線でケタ違いの末脚を披露して見事に1番人気に応えた。武豊騎手にとっては2005年ディープインパクト以来、5度目のダービー制覇。その息子の手綱を取っての優勝であり、ダービーの父子制覇は8組目となるが、同じ騎手での制覇は史上初。半姉ファレノプシスの桜花賞優勝時にも騎乗しており、姉弟でのクラシック制覇も同時に成し遂げた。この数年はケガなどにより不振が続いていた武豊騎手にとって、最高の舞台での完全復活劇となった。
 生産したノースヒルズマネジメント、その代表である前田幸治氏、弟で馬主の前田晋二氏にとっては初のダービー制覇。ノースヒルズ生産馬を多く手掛ける佐々木晶三調教師、デビュー当時に主戦騎手だったもののケガで武豊騎手に乗り替わった佐藤哲三騎手、さまざまな人と人、人と馬の?絆?がもたらしたダービー制覇であり、東日本大震災からの復興を目指す象徴的な言葉でもある「キズナ」という馬名は、ドラマをより感動的なものに演出した。
 キズナは現代では珍しい3文字馬名。ダービーでは1960年にコダマが勝っているだけで、2頭目の勝利となった。これまで3文字馬名でGI級レースを勝った日本馬は、ほかには皐月賞馬ケゴン、桜花賞馬タマミ、宝塚記念馬ナオキ、安田記念(当時は安田賞)馬フソウ、オークス馬ベロナ、朝日杯FS(当時は朝日杯3歳S)馬ミノルの6頭だけしかいない。もっとも最近の勝利はナオキの宝塚記念で1975年だったが、当時の宝塚記念、朝日杯FS、安田記念はGI級とは呼べなかったので、実質的には1970年のタマミの桜花賞以来の珍記録となる。
 ちなみに2文字馬名で重賞を勝ったのはベガ(桜花賞、オークス)、ベル(小倉記念)、レダ(天皇賞・春など3勝)、ワナ(新潟2歳S)、交流重賞を含めてもナミ(エーデルワイス賞)の5頭しかいない。1文字馬名は2002年以降は禁止になったが、それ以前でも1934年デビューの「ヤ」1頭だけしかいなかった。単純に計算すれば、2文字名なら8330通り、3文字名ならば99万1270通りがあるわけだが、このうちジャパン・スタッドブック・インターナショナル馬名登録実施基準(平成24年11月最終改正)の「馬名に用いる片仮名表記」などの項目に当てはめていくと、2~3文字で意味のある新たな馬名を創造するのはかなり困難な作業となる。
「キズナ」という馬は、実は以前にもう1頭存在した。2004年に浦河・高松牧場で生産された父グラスワンダー、母ジョウノモンブラン(その父サンデーサイレンス)の牝馬で、06年6月に美浦・石栗龍彦厩舎からデビューした。競走成績は、デビュー戦で5着になったものの、その後の6戦はすべて2ケタ着順。最後の2戦の勝ち馬との着差は6秒2、3秒7という惨敗だったこともあり、血統はまずまずだったものの、引退後は繁殖牝馬にはならなかった。
 登録抹消が07年2月だったため、「登録抹消後5年経過」の条件がぎりぎりクリアされて、12年4月に現在のキズナが馬名登録できたわけだ。先代キズナの登録抹消がもう少し遅れるか、繁殖登録されていたら、今年の日本ダービーは、同じ結果だったとしても違った捉えられ方がされていたかもしれない。
 逆に長文字馬名は、日本での登録はカタカナ9文字までと決められている。また同時に、競馬と生産に関する国際協約(パリ協約)にも準じるために、併記するアルファベット表記で18文字以内との取り決めもある。国際化の時代なのだから、このアルファベット18文字は遵守しなければならないだろうが、カタカナ9文字はそろそろ撤廃してもいいのではないだろうか。以前は、競馬新聞の馬柱の印刷やコンピューターでのデータ処理の関係で9文字以上の表記が困難だったが、印刷技術やコンピューターの進歩でいまは文字数が増えても問題ない。
 実際に、日本の国際競走に出走した外国馬に13文字のフリートストリートダンサー、輸入種牡馬には15文字のマークオブディスティンクションがいたが、まったく問題は起きていない。ジャパンC2着のファビラスラフィンのように冠名なしの馬名でも文字数制限で適切なカタカナ表記(本来ならファビュラスラフィン)になっていない馬もいた。冠を用いる馬主の所有馬が、規定には準じていてもファンにとって紛らわしい同一馬名にならないようにするためにも、アルファベット18文字への統一を期待したい。

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