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馬産地往来

2022年2月25日

JRA賞の選考に思う

後藤 正俊

 2021年の年間表彰として1月11日にJRA賞、17日にNARグランプリが発表された。注目されていたJRA賞の年度代表馬にはエフフォーリアが選出された。3歳クラシック制覇は皐月賞だけだったが、ダービーは鼻差2着。そして秋には天皇賞でコントレイル、グランアレグリアを、有馬記念ではクロノジェネシスらを退けて古馬G1連勝を果たしたのだから当然の受賞と言えるもので、296人による記者投票の結果はエフフォーリア277票、ラヴズオンリーユー18票、マルシュロレーヌ1票だった。
 「牝馬の時代」と呼ばれ、18年から20年までの3年間はアーモンドアイとリスグラシューが年度代表馬に輝いていた。過去15年を振り返ると、ともに2回受賞のウオッカ、ジェンティルドンナ、1回のブエナビスタもいたため、8回が牝馬の年度代表馬となっていた。もちろんそれぞれ受賞にふさわしい成績を残していたわけだが、馬産地全体の立場から考えると「ホース・オブ・ザ・イヤー」のタイトルは将来、種牡馬となる馬の看板になってくれれば、との思いもある。いまや名種牡馬には世界中から種付け申し込みがある時代で、年度表彰のタイトルは特に海外のホースマンへ強くアピールすることができる。その意味でエフフォーリアは、将来の種牡馬としての大きな勲章を早くも手に入れたことになる。
 一方で、前号で書いたコントレイルは最優秀4歳以上牡馬部門では選出されたものの、年度代表馬の投票では1票も入らなかった。21年の成績だけ見れば3戦1勝なのだからこれも当然の結果だが、史上3頭目、父子2代で無敗の三冠馬となった歴史的名馬が「年度代表馬」のタイトルを獲ることなく引退したことには一抹の寂しさも感じられる。1月26日に発表されたIFHA(国際競馬統括機関連盟)の「2021年度ロンジンワールドベストレースホースランキング」では、ジャパンC優勝で126ポンドのレーティングを獲得したコントレイルが、日本調教馬最高の5位(1位はブリーダーズCクラシック制覇のニックスゴーで129ポンド)となったことが、世界的に評価されることを願っている。
 JRA賞を巡ってファンの間で様々な論議を呼んでいるのが、ブリーダーズCディスタフを制したマルシュロレーヌが「無冠」に終わったことだ。JRA賞の投票は競馬記者クラブ入会3年以上の記者などが有資格者で、原則として記者ごとに投票馬名が公表される。非公表にすることも可能だが今回の投票で非公表としたのは10人だけだった。競馬ファンとしてはどの記者がどの馬に投票したのか判ることで納得感が増すし、記者にとっても投票への真剣味が高まることが考えられるが、その分だけプレッシャーも大きい。現在の選考方法となった00年以降、筆者も新聞社に所属していた数年間は投票を行っていたが、自分なりの選定基準は持っているものの一頭一頭にコメントする欄はないため、自分の正確な思いが伝わらないのであれば「一般的」な投票をした方が良いのでは、と考えることも多かった。ファンから批判されるのはやはり嫌なもので、いわゆる「同調圧力」を感じることもあった。だが、単に勝ったG1レースの数や収得賞金だけで評価するのであれば記者投票という仕組みは必要なく、主催者がデータのみで選出すれば良いことになる。記者の中には日本ダービー、オークス、ジャパンCなどを「特別なレース」と考えている人がいるのと同様に、凱旋門賞やブリーダーズCを別格視したり、日本馬が米国ダートの祭典で勝利することの価値を極めて高く評価したりする人がいても当然だ。年度代表馬の投票でマルシュロレーヌに1票を投じた記者の信念を讃えたい気持ちだ。
 だが投票に「特別賞」という部門はなく、記者が「この馬に特別賞を」と正式に推薦できる体裁にもなっていない。せいぜい意見欄に要望を書くことができる程度だが、投票結果が判らないうちに特別賞を推薦することは難しい。この特別賞の受賞馬を決定するのは8人の委員からなる受賞馬選考委員会の手に委ねられている。ここで4分の3(6人)以上の賛成がなければ選考されない規定だが、特別賞には明確な選考基準がなく、時には各部門賞で選出されなかった馬の敗者復活的な意味合いでの選考が行われたこともあった。
 日本競馬はカテゴリー化が進み各カテゴリーにG1レースが設置され、その比較は難しくなっている。地方競馬ではダートグレード競走が実施され、障害もグレード化されたが、G1、Jpn1、J・G1の評価も明確には定まっていない。それに加えて海外G1レースに出走する馬は年々増加しており、そのレースごとの価値を判断することも難解を極めている。そろそろJRA賞選考方法の見直しを検討すべき時期なのではないだろうか。

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