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馬産地往来

2010年2月25日

東も西も牝馬の時代

日本で欧米で歴史的名牝が続出

後藤正俊

 牝馬の時代が到来したと見てもいいのではないだろうか。
 1月25日に行われた2009年度JRA賞の表彰式で、ウオッカが2年連続の年度代表馬に輝いた。牝馬の2年連続年度代表馬は史上初。08年は同じ牝馬のダイワスカーレットとの死闘のうえでの受賞。そのライバルがいなくなった09年は牡馬との混合の安田記念、ジャパンCを含むGI3勝とさらに成績を伸ばした。まさに不世出の女傑といえるだろう。
 そのJRA賞で最優秀3歳牡馬にはダービー馬ロジユニヴァースが選ばれたが、この部門が「最優秀3歳馬」というカテゴリーだったとしたら満票でブエナビスタが選出されていたはずだ。不敗での桜花賞、オークス制覇はもちろん、古馬、牡馬を相手に1番人気を背負った有馬記念であわやの2着という成績は、むしろウオッカ以上に光り輝いて見えた。これだけ立て続けに「歴史的名牝」が登場するのは、偶然とは思えない。
 2月4日に行われたNARグランプリ2009も同じことが起こった。年度代表馬には無敗で全日本2歳優駿を制した2歳牝馬のラブミーチャンが選出されたのだ。2歳馬が年度代表馬になったのは史上初で、しかも選考委員会では満場一致での決定。JRAでのレコード勝ちも含めて、圧倒的なスピードと、衝撃的な活躍が牡古馬を圧倒した。牝馬の年度代表馬は95年ライデンリーダー、00年ベラミロード、03年ネームヴァリューに続いて4頭目とNARでは意外に多いのだが、JRAとNARでともに年度代表馬が牝馬だった年は初めてだった。
 そして、これは日本だけの事態ではなかった。1月18日に発表された米国のエクリプス賞は、プリークネスSでケンタッキーダービー馬マインザットバードを破り、ウッドワードSでは古牡馬に完勝、ケンタッキーオークスは20馬身以上も突き離す大楽勝を演じた8戦8勝の名牝レーチェルアレクサンドラが、牝馬として史上初めてBCクラシックを制覇したゼニヤッタを、130票対99票の投票結果で破って年度代表馬となった。歴史的名牝2頭の「年度代表馬」での対決は、全米スポーツ界でも大きな話題になっていた。
 欧州のカルティエ賞だけが3歳牡馬のシーザスターズが年度代表馬に輝いたが、最優秀古馬にはBCマイル、ジャックルマロワ賞など欧米を股に活躍したゴルディコヴァが選出されている。また08年は不敗の凱旋門賞馬ザルカヴァが圧倒的な成績で年度代表馬となっており、牝馬の旋風はこの2~3年、世界中で巻き起こっているのだ。
 はっきりとした理由はわからないが、いくつかの要因は考えつく。米国の場合、ダートよりもスピードが優先されるオールウェザー馬場の増加が、牝馬の活躍と符合する部分がある。ゼニヤッタの場合は、14戦全勝中BCクラシックをはじめ12勝がオールウェザー馬場で挙げたものだった。レーチェルアレクサンドラのような完全なダートホースもいるが、これまでダートではパワー不足に泣いていた牝馬が、オールウェザーで台頭してきたことは、十分に想像が付く。
 もう1点は、獣医学の進歩や、牧場の設備拡充などで育成レベルが非常に高まってきたことで育成馬全体の能力がアップし、牡馬と牝馬の能力差が小さくなったのではないかという推測。日本ならほぼ2キロのセックスアロワンスを考えると、牝馬のほうが優位に立つようになったと考えられる。
 いずれにしても、牝馬の大活躍は馬産地にとって非常にありがたい傾向である。生産牧場にとって牝馬の売れ行き不振、取引価格低迷が、牧場経営をもっとも圧迫している要因になっている。牝馬のひ弱なイメージが一新されることで、長い馬産地不況にもトンネルの先にかすかな灯りが見えてきた。
(年齢表記はすべて09年時点)

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