重賞勝ち馬News

Stallions in Japan

会員の勝ち馬

取引馬データベース

よくある質問

日本競走馬協会について

バナーエリア

馬産地往来

2010年10月25日

道営競馬 安定的継続へ

長期的視野に立った抜本的な改革を

後藤正俊

 この10年来ずっと懸案だったホッカイドウ競馬の存廃問題に、ついに決着が付けられることになった。9月17日の定例道議会で高橋はるみ北海道知事は、代表質問での答弁で「(ホッカイドウ競馬を)将来にわたって安定的に継続していくことが重要。馬産地振興の観点からも最終的に判断したい」と存続方針を明言した。ホッカイドウ競馬の存続は、道内約1000人を超える雇用の創出、魅力的な観光資源、600億円と試算される経済効果、軽種馬産地にとって不可欠な事業であることなどが加味されて、総合的な見地から北海道にとって必要であると判断されたのだ。
 知事の諮問機関である地方競馬運営委員会では「2010年度開催までに収支均衡を実現することが存続の条件」という答申を行っていたが、その点に関しても01年度には28億円だった単年度赤字が09年には3億円にまで圧縮されており、10年度も目標額には届いていないものの、ほぼ前年並みの成績を続けていることからも「収支均衡を見通せる段階まできたことについて、前向きに受け止めたい」と、10年度の最終収支決算が出る前の段階で存続を決定することにも問題はないという見解を示した。
 「ホッカイドウ競馬が廃止されれば、馬産地も崩壊する」と言われていただけに、存続が決まったことは馬産地にとっては何よりもの朗報であるし、北海道競馬運営改善対策室を中心とした馬産地が、一丸となってホッカイドウ競馬の盛り上げに懸命に取り組んできたことが結実したといえる。もちろん現在も、地方競馬の存廃問題は福山、笠松、荒尾などでくすぶっており、馬産地としてはまだまだ安心できる状況ではないが、JRAに次ぐ2歳新馬の供給地であるホッカイドウ競馬が当面は存続することで“ひと安心”なのは間違いない。
 今回の存続決定はもちろん恒久的なものではないが、これまで1年ごとに結果を求められてきたこととは大きな違いがある。特に08年度からは「3年間で収支均衡が実現できなければ廃止やむなし」との改革ビジョンが示されていたため、売り上げを伸ばすのではなく、まずは可能な限りの経費削減を行うことで目の前の赤字を減らし続けることだけに懸命に取り組んできた。競馬を取り巻く状況を考えれば仕方がないことではあったが、それは本来あるべき競馬運営の姿とはまったく違うものだった。
 だが今回の「存続」は、次期の知事選挙や道議会議員選挙などで大きな変化でも起こらない限りは、ある程度中期的なスパンでの判断だと考えられる。いきなり大幅な赤字増大では批判されるだろうが、しっかりとしたビジョンを示したうえでの一時的な赤字なら、ある程度は許されるはず。ホッカイドウ競馬の抜本的な改革を行うのであれば、このタイミングしかないともいえる。
 まずは門別競馬場単独での開催を見直してもらいたい。経費を考えれば馬も人も動かず、賃貸料も発生しない門別競馬場単独開催はベストの条件ではあるが、常に同じコース、似たような距離でのレースは・飽きる・だけでなく、馬券検討の材料が極めて少なく人気が集中してしまう弊害もある。本命サイドで決まればオッズは低すぎるし、荒れるとファンにとっては納得できない部分も出てくる。
 馬券購入者の大半が負ける「競馬」というギャンブルでは、レース後に「ああ、そうか。このデータを見落としていたのか」とファンがある程度納得できるような材料をちりばめておくことが必要。2週間前のレースで2秒も負けていた馬が、同じコース・距離・条件のレースで逆転してしまったら、現実には往々にして起き得ることではあるが、ファンの気持はすっきりしない。開催場を変えることが検討材料を増やす最大の策となるのだ。できれば以前のように3~4場を回るのが理想だが、すでに門別以外の地方競馬場には平地コースはなくなっており、残るはJRAの札幌、函館だけ。最低限、札幌開催復活を早急に望みたい。
 ほかにもJBC競走の招致、ステークス制導入による賞金アップ、門別左回りコースの設置、オールウェザー馬場導入の検討など、馬産地競馬としてのホッカイドウ競馬の存在意義を示すような、中長期的視点に立った抜本的な改革に取り組んでもらいたいものだ。

バックナンバー

過去の馬産地往来

2024年

2023年

2022年

2021年

2020年

2019年

2018年

2017年

2016年

2015年

2014年

2013年

2012年

2011年

2010年

2009年

2008年

2007年

2006年

2005年

2004年