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馬産地往来

2014年6月25日

2歳新種牡馬の動向に注目

内国産馬は実力確か 輸入馬2頭も大物

後藤正俊

 ダービーが終わるとすぐに、来年のダービーへ向けて2歳馬たちのシーズンが始まる。馬産地にとって最も興味の対象となるのが2歳新種牡馬の動向だろう。
 今年の内国産新種牡馬には、中距離以上の芝GⅠ勝ち馬が1頭もいない。引退年との巡り合わせによるもので、いわゆるクラシックタイプの大物がいないことで小粒感を感じているファンがいるかもしれないが、むしろ個性的な新種牡馬たちが脚光を浴びるチャンスでもある。実際に、内国産新種牡馬たちのレベルの高さは、JRAよりひと足早く2歳戦がスタートしたホッカイドウ競馬で証明されている。
 ホッカイドウ競馬シーズン開幕直後の5月15日、門別競馬のJRA認定フレッシュチャレンジ競走(ダート1200メートル)で、新種牡馬ヴァーミリアン産駒のエンターザスフィア(牡、北海道・田中淳司=新冠・村本牧場生産)が先行策から早めに先頭に立ってそのままゴールイン。今年の新種牡馬産駒勝ち馬第1号となった。1馬身半差の2着にはアドマイヤオーラ産駒のコンドルダンス(牡、北海道・田中正二=新冠・川上悦夫牧場生産)が、さらに1馬身半差の3着にはキンシャサノキセキ産駒のサダムリスペクト(牡、北海道・堂山芳則=新ひだか・神垣道弘牧場生産)が入り、新種牡馬産駒が1~3着を独占するという珍しい結果になったのだ。コンドルダンス、サダムリスペクトはそれぞれ2戦目で順当に勝ち上がっている。
 また21日のフレッシュチャレンジ競走(ダート1000メートル)は、カネヒキリ産駒コールサインゼロ(牡、北海道・原孝明=日高・古川優牧場生産)が3番手追走から残り1ハロンで先頭に立ち、そのままゴール。翌22日のフレッシュチャレンジ競走(ダート1000メートル)は、ローレルゲレイロ産駒ウールーズ(牝、北海道・林和弘=新冠・村田牧場生産)が直線鋭く追い込んで優勝している。その他にもチェリークラウン産駒のチェリーブラウン(牝、北海道・石本孝博=浦河・鮫川ファーム生産)もアタックチャレンジ競走を勝っており、5月中に内国産新種牡馬産駒6頭が勝ち上がるという快進撃が続いているのだ。
 なかでも注目されているのはヴァーミリアンで、5月末までに6頭の産駒がデビューしている(他の新種牡馬産駒はいずれも3頭以下のデビュー)。ヴァーミリアンは現役時代、5歳時の川崎記念でGⅠ初制覇し、8歳までにGⅠ9勝を挙げた。それだけに「晩成型」と思われていた面もあったが、もともとはラジオたんぱ杯2歳Sでアドマイヤジャパン、シックスセンスらを破ってクラシック候補として注目された馬だった。産駒の仕上がりの早さは決して意外なものではなかったはずだ。
 実質的なラストクロップから待望のクラシック馬イスラボニータを出して、種牡馬としてのポテンシャルの高さを改めて示したフジキセキは、2頭の新種牡馬をデビューさせた。カネヒキリとキンシャサノキセキだ。カネヒキリは「ダートのディープインパクト」と呼ばれた異能さと、屈腱炎手術から復活してGⅠ制覇した驚異の生命力が魅力。キンシャサノキセキはサンデーサイレンス系では数少ないスプリンター系種牡馬という点が“売り”となる。フジキセキの万能さ、守備範囲の広さが、この2頭の種牡馬デビューによってさらに強調されることになりそうだ。
 それでも、新種牡馬の主役はやはりエンパイアメーカー、ハービンジャーという2頭の輸入種牡馬が担う。エンパイアメーカーは輸入後の2012年に北米リーディングサイアー2位となった超大物。日本に輸入、持ち込まれた産駒の中からフェデラリスト、イジゲンが重賞ウイナーとなっており、芝・ダートを問わず日本競馬への適性の高さが示されている。昨年のヨハネスブルグに続くJBBA導入の新種牡馬であり、初年度から3年間の種付け頭数は204、236、192頭と馬産地の期待も極めて大きい。
 大物ぶりで負けていないのが欧州屈指のハービンジャー。ワークフォースなど後続に11馬身差をつけたキングジョージ六世&クイーンエリザベスSでの強さは早くも伝説になっている。社台グループのサンデーサイレンス系繁殖牝馬と数多く交配されており、失敗の許されない環境が整っている。育成牧場での評判も「丈夫であることが何よりも素晴らしい特徴」と、予定通りの育成・調教をこなしている。2頭の覇権争いは、ディープインパクト、ステイゴールド、ハーツクライら栄華を極める内国産種牡馬への挑戦状につながるはずだ。

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