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馬産地往来

2007年8月1日

さらに向上したセレクトセール

次の課題は北海道市場との住み分け

後藤正俊

 第10回を迎えた今年のセレクトセールは、 次の10年間へ向けての指針を示した結果になったように思える。
 昨年の6億円馬のように飛び抜けて高い馬は登場しなかったためスポーツ紙の扱いなどは比較的おとなしめだったが、 それでいて売上総額は昨年とほとんど変わらなかったのは、 全体的なレベルがさらに高まっていた証拠だろう。
 セールを見ていても 「売れている」 ことが実感されるもので、 それは売却率にはっきりと表れている。 1歳セールは昨年の66・1%から72・0%へ、 当歳セールは72・7%から75・7%へ、 それぞれ大きく上昇した。 当歳セールでは05年に80・1%を記録しているが、 1歳セールで72%という売却率は国内のセリ市で近年は記録されたことがない数字だろう。
 なかでもノーザンファーム生産馬は、 1歳33頭、 当歳69頭の計102頭が上場されたが、 すべて売却されるパーフェクト。 これまでのセレクトセールでも、 セール終了直後に売却される馬を含めれば社台グループ生産馬はほとんどが売却されていたが、 市場でのパーフェクト達成はまさに偉業だった。 当歳セールでは社台ファーム、 白老ファームとも売却されなかったのは1頭だけという準パーフェクトで、 社台グループの強さをまざまざと見せ付けた。
 だが社台グループ以外からの上場馬の売却率は1歳が53・8%、 当歳が58・3%と大きな開きがあった。 サンデーサイレンス産駒がいなくなったことで血統レベルでの差は以前よりも小さくなっているように思えるが、 必ずしも血統通りの評価とはならなかった。
 社台グループ上場馬に比べるとリザーブ価格がやや高めに設定されているように思える馬がいたのも事実だが、 それは以前とそれほど変わっていないことでもある。 日高の良血馬が翌週に開催される北海道市場のセレクションセールに流れたことが大きな原因だろう。 特に1歳馬にはその傾向が強かった。
 昨年から再開されたセレクトセールの1歳市場は、 全体的な結果としては十分に実績を作っているが、 北海道市場との関係は複雑になっている。 日高の生産者にとって富裕層の大馬主が多く集まるセレクトセールは高額売却の大きなチャンスと考えられてきた。 確かに激しい競り合いとなって予想を大きく上回る価格で取引された馬もいた。
 だが、 前述したようにセレクトセールでは社台グループのブランドイメージが極めて強くなってきたため、 同じ血統レベル、 同程度の馬体であっても社台グループ生産馬と日高生産馬とでは価格面でかなりの開きが生じてしまう。 これを嫌ってセレクションセールに良血馬を上場させるようになった日高の生産者が増えてきている。
 セレクトセールが 「グローバル・スタンダード」 を意識して昨年から1歳セールを復活させたことには大きな意義がある。 外国人バイヤーの進出も顕著になってきた。 だがこの状況が続いていくと、 セレクトセールでの社台グループ生産馬と日高生産馬の差はますます広がっていってしまう危険性もある。 それは購買者へのサービスという面でも低下の恐れを抱えていることでもある。
 ひとつの解決策として考えられるのは、 セレクトセールを 「公設市場」 ではなく 「私設市場」 にしてしまうこと。 私設市場なら社台グループからの上場馬が5割を超えても問題がない。 上場馬選定をさらにレベルアップさせて、 当歳、 1歳合わせて200~300頭程度に絞り込み、 1日か2日で開催してしまう。 上場馬選定では単に馬のレベルだけでなく、 リザーブ価格も選定材料として考慮して売却率100%を目指し、 最低価格1000万円程度の本当の 「セレクト」 にする方法だ。
 もちろんこの場合はセール取引馬でも市場取引馬奨励賞の対象にはならなくなるが、 この奨励賞もいつまで続くかわからない。 社会的地位が高く多忙な購買者は、 セリの日数、 時間が短縮されること、 上場馬のレベルが一定以上にそろうことを歓迎するだろう。
 いずれにしても今後のセレクトセールは、 北海道市場セレクションセールとの明確な住み分けが必要になってくるのではないだろうか。

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