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馬産地往来

2021年12月24日

三冠馬コントレイルが種牡馬入り

後藤 正俊

 第41回ジャパンCは、ここが引退レースとなった昨年の無敗の三冠馬コントレイルが、三冠後の3連敗のうっ憤を晴らすかのような圧勝劇で有終の美を飾った。多くのコントレイル・ファンにとっても、馬産地にとっても、最高のフィナーレとなった。
 通算成績は11戦8勝2着2回3着1回。うち10戦が重賞でG1・5勝。じつに立派な成績だが、これまでの日本の名馬と比較すると11戦というキャリアに、もっとその走りを見ていたかったと物足りなさを感じたファンもいたことだろう。だが引退に対してネガティブな意見はネット上でもほとんど見られなかった。無事に種牡馬入りし、2世に期待する思いが勝っていたものだと思われる。日本の競馬ファンはじつに愛馬心に溢れた心優しい人が多いと敬服する。
 多くの生産者も胸を撫で下ろしていたに違いない。ディープインパクトの死後に登場した無敗の三冠馬は、その後継として申し分ない存在だった。だが三冠後に3連敗し「無敗の三冠馬」という種牡馬イメージがやや薄れてしまった感も否めなかった。菊花賞での激走後のジャパンC(2着)は、シンボリルドルフですら3着に敗れている難関だったし、相手はあのアーモンドアイだった。大阪杯3着は「重」発表以上に悪い馬場状態で、スピードと切れ味を武器にするこの馬には酷な条件だった。天皇賞(秋)2着はゲートで暴れて1番枠スタートも災いした。むしろ勝ったエフフォーリアの完璧なレースを讃えるべきレースだった。決して悲観する内容の3連敗ではなかったが、このままでは偉大だった父の最良後継種牡馬としては印象があまり良くないことも確かだった。それだけに引退レースとなったジャパンCでの快勝はイメージ挽回に多大な貢献をすることになった。
 11月30日には、種牡馬入りする社台スタリオンステーションから初年度の種付け料が1200万円になることが発表された。同ステーション供用種牡馬ではエピファネイアの1800万円、ロードカナロアの1500万円に次ぎ、キズナと並ぶ3位タイで、初年度としては父ディープインパクトと同額の設定となった。同じ三冠馬だったオルフェーヴルの初年度が600万円だったのだから、その期待の大きさが種付け料に表れている。それでも初年度から種付け申し込みは殺到することが予想されるし、馬産地にはディープインパクトと交配するために輸入された非サンデーサイレンス系の名繁殖牝馬が数多くいる。気の早い話になるが、初年度産駒がデビューするであろう2025年の2歳戦からコントレイル・フィーバーが巻き起こっていることが容易に想像できる。
 馬産地にはすでに30頭以上のディープインパクト産駒の種牡馬が供用されている。一見すると過当競争にも見えるが、このうち今春の種付け料が200万円以上だったのはキズナ、サトノダイヤモンド、ミッキーアイル、リアルスティール、フィエールマンの5頭しかいなかった。来春はこれに150万円から600万円に急騰したシルバーステートが加わるが、それでもハイレベル種牡馬の中ではそれほど激しい競争にはなりそうもない。コントレイル以外の6頭はいずれも480~500キロ程度の大型馬だったが、コントレイルのジャパンC時の馬体重は456キロ。引退レースが438キロだった父ディープインパクトほど小柄ではないが、ライバルたちとは異なった魅力を持ち、父の特徴を受け継いだ馬体の持ち主である点も人気の要因になりそうだ。
 残念なのは「年度代表馬」のタイトルが厳しいことだろうか。無敗の三冠馬でありながら、昨年はアーモンドアイ236票、コントレイル44票の大差で敗れてしまった。やはりジャパンCでの直接対決が投票に大きく影響した。今年の場合、まだ有馬記念や香港国際競走が行われていない時点でこの原稿を執筆しているが、有馬記念の結果にかかわらず、天皇賞(秋)の直接対決でコントレイルを破っているエフフォーリアが最有力だろう。有馬記念を勝利すれば「グランプリ4連勝」となるクロノジェネシスにもチャンスがある。また香港の結果次第で、香港クイーンエリザベス2世C、BCフィリー&メアターフを制したラヴズオンリーユーも有力候補の一頭になる。「歴史的快挙」という面ではレトルースカ、マラサート、シーデアズザデビルら強豪を抑えてダートのBCディスタフを制したマルシュロレーヌにもエルコンドルパサーの時のような投票があるかもしれないし、今年G1・2勝、通算G1・6勝を挙げた名牝グランアレグリアにも資格はある。今年はG1を1勝だけのコントレイルは最優秀4歳以上牡馬部門は獲れるかもしれないが、年度代表馬となると圧倒的に不利な状況だ。「ホース・オブ・ザ・イヤー」のタイトルは海外での評価がより高いだけに、海外からの種付け申し込みを考えると、海外遠征がなかったコントレイルには欲しいタイトルだったし、そのタイトルの価値がある名馬だった。馬にとっては12月も1月も関係ないだけに、当該年度の成績だけで判断する年度表彰の在り方を考えるきっかけになるかもしれない。

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