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馬産地往来

2008年8月1日

セール成功の影で進んだ「格差」

上場選定基準にリザーブ価格の導入を

後藤正俊

 今年も税込みでは100億円の売り上げを記録したセレクトセール。 売却総額は昨年から20億円減少したが、 昨年までがやや異常な数字だったというだけで、 セレクトセール単独でその運営を考えれば、 今年も大成功に終わったと見ることができるだろう。 だがこのセール結果が馬産地全体に及ぼす影響力の大きさを考えると、 単純に喜んでばかりはいられない。
 1歳セールは売却頭数が昨年の108頭から105頭に減少して売却率は2・5ポイント落ちたが、 これは誤差の範囲といえるもので、 ほぼ昨年並みだった。 売却総額が昨年よりほぼ10億円減少の24億6500万円となってかなり大きな落ち込みに見えるのだが、 じつはそれほど深刻な数字ではなかった。
 売却総額、 平均価格が低下したのは1億円以上の超高額馬が1頭だけしか登場しなかったことが最大の要因だからだ。 昨年は1億円以上が4頭で、 しかも2頭は2億5000万円と2億4500万円。 今年は最高が2億4500万円で、 これに続いたのが6400万円である。 中間価格は昨年の1811万円に対して今年は1680万円と130万円しか違いがなかった。
 当歳セールにいたっては昨年とまったく同じ中間価格である。 1億円を超えるような超高額馬の続出はセールの 「華」 であり盛り上がりも違うが、 超高額馬はある意味では偶然の産物であり、 計算に入れられるものではない。 サンデーサイレンス産駒がいた時代はともかくとして、 まだポスト・サンデーサイレンスがはっきりとしないだけに以前のような強烈な競り合いは起こりにくい。 これは仕方がない結果だと言えるだろう。
 問題点は 「格差」 にある。 1歳セールで社台グループからの上場馬は完売したのに全体の売却率が70%を切ったということは、 社台グループ以外の上場馬の成績がさらに落ちてきていることを示している。 これには3つの理由が考えられる。
 ①リザーブ価格の問題 社台グループの上場馬がすべて売却されたのは、 リザーブ価格を極端に下げて上場していたからでもある。 「価格は市場が決めるもの」 と市場を完全に信用しなければできないことだ。 社台グループの場合は全体として黒字になればいいので、 売却馬1頭1頭で考えれば赤字の価格でも構わない、 という考え方をすることができる。 だが中小牧場ではそうはいかない。 1頭しか上場していない牧場なら、 その1頭で利益を得なければ運営できなくなってしまう。 赤字になるリザーブ価格は怖くてとても付けられないのは仕方がないことだ。 ただ大手牧場にしてもリザーブ価格が売却希望価格なのではないか、 と思えてしまう設定もなくはなかった。
 ②セレクションセールとの関係 セレクトセールの翌週には北海道市場のセレクションセールが開催される日程になっている。 以前は社台グループ以外の生産者にとって、 購買者、 調教師の来場が多いセレクトセールに上場するほうが思わぬ高額で売却されるなど有利だと思われていたが、 最近は 「良血ぞろいの社台グループの馬と比較されるよりもセレクションセールで目立った方が得」 という考え方をする生産者も増えてきた。
 ③購買者のイメージ 確かに社台グループには良血馬が多いが、 サンデーサイレンス産駒という特別な存在がいなくなったいまは、 平均すれば差はあっても、 1頭1頭なら大差はない。 セリ馴致や手入れにしてもコンサイナーに依頼することでほぼ互角。 だが購買者にとって 「社台グループ」 というブランドは、 逆にさらに大きな存在になってきている。
 これらの問題点はいずれも簡単に解決できることではない。 これで北海道市場が好成績なら 「住み分け」 が進めばいいことなのだが、 翌週に行われたセレクションセールは景気後退の影響をまともに受ける極めて厳しい結果に終わった。 セレクションセールとより連携を深めて日程を工夫したり、 上場馬の選定は血統・馬体だけでなく 「リザーブ価格」 も選定要因に含めたりするなど、 そろそろセレクトセールも抜本的な改革に取り組むべき時期がやってきたのかもしれない。

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