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馬産地往来

2016年6月27日

父を超えるか ディープインパクト

後藤 正俊

 いま生産界でもっとも興味が抱かれている話題は「ディープインパクトはサンデーサイレンスを超えるのか」という点かもしれない。それほどいまのディープインパクト産駒の勢いはすさまじいものがある。
 日本ダービーは皐月賞に続いて、産駒のマカヒキ、サトノダイヤモンド、ディーマジェスティが1~3着を独占した。日本ダービーは産駒デビュー6世代目で早くも3勝目となった。重賞やG1で上位独占を繰り返してきた父サンデーサイレンスでも、日本ダービーでの1~3着独占は1度もなかった。皐月賞にしても戦前は「これまで産駒が未勝利なのは中山コースを苦手にしているから」と言われていたが、そんな風評も覆しての上位独占だった。オークスはシンハライト、ビッシュが1、3着で、6年間の産駒通算成績が3勝、2着3回、3着3回になった。桜花賞こそ入着はシンハライトの2着だけだったが、今春のクラシック4戦で3勝、2着3回、3着3回なのだから、3歳戦をほぼ制圧していると言ってもいいだろう。
 5月末までのJRA成績は104勝、重賞18勝。昨年のペースを大きく上回り、これまで最高だった2014年の232勝、重賞37勝を超えることが濃厚な状況だ。その14年は障害を含めG1を11勝しており、これはサンデーサイレンスが03年に記録した10勝を上回る史上最多だった。今年のG1はまだ3勝で、その驚異的な自己記録を超えるのはさすがに厳しいようにも思えるのだが、これにリアルスティールのドバイターフ、エイシンヒカリのイスパーン賞を加えるとG1・5勝を挙げていることになり、今後の海外での実績次第では「11勝」も不可能な数字ではなくなる。
 時代の違いはあるが、サンデーサイレンス産駒の海外G1制覇は意外に少なく、日本調教馬としてはステイゴールドの香港ヴァーズ、ハーツクライのドバイシーマクラシック、ハットトリックの香港マイルの3勝だけ。海外調教馬はAJCオークスのサンデージョイしかいない。
 だがディープインパクトはリアルスティールの1勝、エイシンヒカリは他に香港Cがあり計2勝、その他にジェンティルドンナのドバイシーマクラシック、リアルインパクトのジョージライダーSとすでに計5勝。海外調教馬もビューティパーラーの仏1000ギニー勝ちがある。米国2冠馬で殿堂入りを果たしているサンデーサイレンスに比べて、海外での競走実績は凱旋門賞3位入線(失格)だけのディープインパクトはまだまだ世界的な知名度は低いが、あと数年すれば世界中の競馬ファンがその名を知ることになりそうだ。
 今春、ディープインパクトの余勢種付料が3000万円にまで到達した。これはサンデーサイレンスが死亡するラストシーズンの02年に設定された価格(推定)と同じで、父の国内史上最高価格に肩を並べた。ディープインパクト産駒のセリ市での平均取引価格は15年当歳・1歳馬は8456万円。繁殖牝馬の減価償却費などを考えたら、3000万円の種付料は生産者としてぎりぎりの設定とも言えるが、それでも申込が殺到しているのは、サンデーサイレンスと同様にディープインパクトが生産者にとって、「夢」を見させてくれる存在になりつつあるからだ。
 父を超えるための最後の課題は、2世種牡馬の成功にかかってきている。ヒンドスタン、ネヴァービート、テスコボーイ、パーソロン、ノーザンテーストなど、これまで日本の馬産を大きく発展させた大種牡馬は数多くいた。だがその中でやや格の違う革命を起こしたのがサンデーサイレンスだった。単に名馬を数多く輩出して、リーディングサイアーの座を独占し続けただけではなく、2世種牡馬たちが成功を続けている点で、それまでの大種牡馬たちとは質が違った。高額なシンジケートを組んで当たり外れの大きなギャンブルを仕掛けなくても、サンデーサイレンス産駒の種牡馬は確実に成功したのだから、種牡馬ビジネスそのものを変革させた。「種牡馬を作れる種牡馬」というキャッチフレーズが、サンデーサイレンスを神格化させていった。
 今年の2歳戦から、ディープインパクト産駒の12年ダービー馬ディープブリランテと同3着馬トーセンホマレボシが種牡馬デビューしている。先陣を切るこの2頭がどのような種牡馬成績を残していくかによって、偉大すぎる父を超えられるのかどうか、種牡馬ディープインパクトの歴史的価値が決まっていくことになる。

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