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馬産地往来

2005年10月1日

香港競馬が急成長した要因

サイレントウィットネスの出現を考える

後藤正俊

 秋のGI開幕戦となったスプリンターズSは、 香港の英雄サイレントウィットネスが、 デュランダルの猛追を抑えて見事に圧倒的な1番人気に応えた。 距離不向きの安田記念であわやの3着だったことから、 最適距離の1200メートルになれば強いとは思っていたが、 それにしても圧巻のレースぶり。 改めてその世界的な名馬ぶりと、 香港競馬の地力アップを感じさせた。
 ほんの10年前までは、 香港競馬は明らかに日本より格下だった。 平成7年にはフジヤマケンザンが香港国際Cに優勝。 翌8年はドージマムテキが香港国際ボウルで2着、 9年はシンコウキングが3着と、 日本では決してトップクラスではなかった馬が、 香港では活躍していたことでも明らかだ。 香港馬は日本馬を含め外国馬になかなか歯が立たなかった。 香港で国際レースが行われるようになったのは平成5年から。 ちょうど、 ジャパンC創設当時の日本とよく状況が似ていた。
 ところが平成11年にインディジェネスがジャパンCで2着、 12年にはフェアリーキングプローンが安田記念を制覇し、 日本遠征でも確実に成績を伸ばしてきたし、 地元の国際競走でも優位に立つようになってきた。 そして今年、 短距離戦ではサイレントウィットネスに10戦全敗だったケープオブグッドホープが豪GIオーストラリアS、 英GIゴールデンジュビリーS (ともに1200メートル) に優勝する快挙。 そしてスプリンターズSはサイレントウィットネスの横綱相撲と、 短距離戦に関しては日本と完全に肩を並べたと見ていいだろう。
 この香港馬の実力が急上昇した要因の1つは、 大半を占めている豪州産馬の血統レベルが高まっていることにあるだろう。 これまでオセアニアの種牡馬は欧米日に比べると二~三流の血統馬だったが、 種牡馬のシャトルが盛んになり、 いまでは高額シンジケートを維持するために欧米の超一流種牡馬までもがシャトルされるようになってきた。 種牡馬レベルは日本よりも高くなったと言えるかもしれない。 ケープオブグッドホープは英国産馬だし、 サイレントウィットネスも二流種牡馬の産駒ではあるが、 全体的な血統レベルの上昇が、 競馬のレベル自体を押し上げていることは間違いない。
 もう1つの要因はファンの熱狂ぶりにある。 郊外のシャティン競馬場はそうでもないが、 都会に位置するハッピーバレー競馬場でのファンの熱狂ぶりはすごい。 改修されて以降、 入場人員も増え続けている。 ファンに見られている競技というのは競技者のモチュベーションが高まり、 レベルが高まっていくものだ。 日本競馬の成長期もそうだったように、 香港競馬もファンに見られていることで急激に力をつけてきているのだ。
 その点、 日本競馬の将来には不安が残る。 サンデーサイレンスのおかげで血統レベルは飛躍的に高まったが、 まだサンデーサイレンスの後継となるような馬は見当たらない。 PATなどの発展で、 競馬場の入場人員は落ち込む一方。 もちろん競馬場での馬鹿騒ぎを奨励するわけではないが、 素晴らしいプレーにはスタンディングオベーションを、 ミスや気の抜けたプレーにはブーイングを、 という正しい声援がなければ、 関係者も現状に満足してしまう。 主催者に対しても厳しくチェックの目を光らさなければならない。
 香港は生産を伴っていない競馬を行っている。 これは決して正しい競馬の形ではない。 その香港馬に、 生産を基盤として競馬を行っている日本の馬が、しかも日本のレースで完敗してしまったことは、 サイレントウィットネスの偉大さを称えるとともに、 大いに恥ずべきことでもあるはずだ。 競馬関係者はもっと悔しさを露わにして、 打倒サイレントウィットネスへ向けてレベル強化にさらに取り組んでいってもらいたい。 それが日本の生産界が生き残っていくための道でもある。

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