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日高便り

2012年2月27日

12年最新種牡馬事情

今年の新種牡馬は豪華メンバー

北海道事務所・遠藤 幹

今年の冬は寒い。比較的温暖といわれる日高地方でも、内陸の新冠町新和で氷点下26度を記録したが、海沿いの地域でも氷点下17~18度と凍てつく日が続いている。そんな極寒のなかでも、仔馬が生まれた便りがちらほら聞かれ始め、本格的な出産種付シーズンももうすぐスタートする。
 日高の経済状況は好転しているわけではないが、種付シーズン到来を目前にして、種付権利の問い合わせや申込も日を追うごとに増えている。この時期、どんな種牡馬に申込が集まっているのか見ていきたい。
 まず何といっても社台スタリオン繋養の種牡馬の注文が多い。かといって、種付料1千万円を誇るディープインパクトやチャンピオンサイアーのキングカメハメハに注文が殺到するのではなく、やや割安感のあるお値打ちな種牡馬が生産者のターゲットになる。私の会社の取引事例を見れば、シンボリクリスエス(受胎条件250万円)やクロフネ(受胎条件300万円)、ダイワメジャー(受胎条件500万円)などの申込が多く、うちシンボリクリスエスやダイワメジャーはすでに募集口数に達して受付終了となった。
 次いで多い注文は、社台スタリオン繋養の人気種牡馬のシンジケート株。現金で種付権利を買うわけだが、金額は受胎条件価格の80%から85%といった金額になるが、不受胎や流産などの場合は翌年再種付ができるフリーリターン権利も付帯しているので、お値打ち感があるのだ。ただし例年どの種牡馬についてもほんの数株程度しか出回らないため、すぐに売り切れ御免となってしまう。
 社台スタリオン繋養の人気種牡馬に限らず、これはと思う種付権利を現金で購入される生産者は、ほぼ固定化されている。生産費の高騰を抑えるには種付料をできる限り抑えるのが一番なのだが、現実に手持ち資金が豊かでないとできない方法でもあるわけで、残念ながら生産者が皆、現金買取を実践できる状況ではない。
 種付シーズン本番になると、当日の空き状況を種馬場に確認のうえ、手頃な受胎条件種牡馬の飛び込み申込が増える。バタバタ忙しいなかで、種付シーズンも佳境に入ることとなる。
 今年初供用の新種牡馬の顔ぶれを見ると、社台スタリオン繋養種牡馬が6頭(昨年2頭)と大幅増なのが目を引く。ワークフォース、ヴィクトワールピサ、ドリームジャーニー、ダノンシャンティ、キャプテントゥーレ、カジノドライヴの6頭で、その顔ぶれもすごい。ワークフォースは3歳時に英ダービーと凱旋門賞を勝った欧州最強馬。父は、キングマンボ系の成功種牡馬キングズベスト。ダービー馬エイシンフラッシュの父としてもおなじみだ。他の種牡馬も皆ビッグネームの精鋭ぞろいで、2月中旬の種牡馬展示会は活況を呈するだろう。
 日高町のブリーダーズスタリオンには、ナカヤマフェスタ、アンライバルド、アサクサキングスの3頭がスタッドインした。なかでもナカヤマフェスタは、ステイゴールドの代表産駒として一昨年の宝塚記念を制し、同年の凱旋門賞ではワークフォースの僅差2着になった。シンジケートも募集口数を増やして結成したほどで、産地での評価も高い。
 新冠町の優駿スタリオンにはベーカバドがスタッドイン。2010年にパリ大賞典に優勝し、ヴィクトワールピサも出走したニエユ賞にも勝った。凱旋門賞はワークフォースの4着という成績で、奇しも2010年凱旋門賞の1、2、4着馬が種牡馬レースでも覇を争うこととなった。
 そのほか各地域の中核スタリオンにも新種牡馬がスタッドインし、ざっと数えると計16頭にもなる。現役時同様、種牡馬レースも過酷なものであり、生き残る種牡馬はほんのわずか。まずは配合牝馬を集めるのがその第一歩だが、成功への足がかりともいうべき100頭超の配合数を記録する種牡馬は、何頭いるだろうか。

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