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2023年2月24日

次代のチャンピオンサイアーは?

北海道事務所・遠藤 幹

 種付けシーズンを目前に控え、各地の種牡馬展示会も2月の第2週に連日開催される予定だ。その種牡馬界を眺めると、今年に入りサイアーランキングにちょっとした異変があった。2月5日現在、定位置のトップにいるはずのディープインパクトが3位で、1位にはロードカナロアが位置している。ディープインパクトの最終世代は現3歳で、国内の血統登録頭数は6頭。出走頭数の減少はいかんともしがたく、ロードカナロア産駒がディープインパクト産駒の2倍強の出走回数を記録している中にあって、王座交代も時代の流れではある。
 ランキング2位は、現時点でのディープインパクト後継1番手のキズナ。ソングライン(G1安田記念)やアカイイト(G1エリザベス女王杯)など活躍馬を輩出している。昨年は堂々のランキング4位で、今年はさらにその上をうかがう勢いである。
 サンデーサイレンスがチャンピオンサイアーになったのが、1995年。その天下は2007年まで13年間続き、その代表産駒のディープインパクトがチャンピオンサイアーになったのが2012年、そして2022年まで11年連続でトップに君臨している。この父系の絶大なる影響力は、日本の生産界の隅々にまで波及しているが、この間、サンデーサイレンス系に一矢報いた対抗勢力は、キングカメハメハ(2010、11年のチャンピオンサイアー)以外出現していない。現在ランキング首位のロードカナロア(父キングカメハメハ)も、自身の血脈にサンデーサイレンスは包含していないのだが、配合牝馬からその血を補充することにより、アーモンドアイやサートゥルナーリアといった活躍馬を輩出している。父系からに限らず、母系からも強い影響を与え続けるサンデーサイレンス系は、まだまだ健在なのである。
 種牡馬ビジネスをしていると、サンデーサイレンスの血を持つ繁殖牝馬を多く所有する馬主や生産者から、非サンデーサイレンス系種牡馬のお薦めについて問い合わせをいただくこともある。最近は非サンデーサイレンス系種牡馬の方が配合しやすいという直接的なメリットもあってか、多数の繁殖牝馬を集める種牡馬も多くなってきた。しかし、今もなお厳然たる影響力を与えるサンデーサイレンス系、ディープインパクト系の血を生かさずして強い馬をつくれるかと言えば、現時点ではそれはノーではないだろうか。
 今、馬産地でディープインパクト直仔として脚光を浴びている種牡馬は、シルバーステートとグレーターロンドンである。どちらもG1タイトルには手が届かず、シルバーステートは準オープン勝ち、グレーターロンドンもG3勝ちの成績で現役生活を終了した。両馬とも脚部不安や爪の問題で順調に競馬を使えなかったことも共通している。シルバーステートは、その潜在能力を種牡馬入り前から高く評価されていたが、G1桜花賞2着のウォーターナビレラを始め産駒の活躍が目覚ましく、今年の種付料は日高地区ナンバーワンの受胎条件600万円(満口)である。グレーターロンドンは小倉で新馬勝ちした産駒ロンドンプランが2戦目のG3小倉2歳Sをあっさり制しデビュー2連勝。さらにユリーシャがエルフィンSを逃げ切り、トラベログは新馬と特別を連勝するなど、他の産駒も活躍が目覚ましい。まだ産駒数が少ないとはいえJRAのレースにおいて産駒の勝率は16.7%(60回出走し10勝)と、驚異的な成績を示し、種付料は昨年の3倍の受胎条件150万円に設定されたが、こちらも既に満口なのだ。
 この先デビューするディープインパクト系種牡馬に目を向ければ、大本命は何と言っても三冠馬コントレイルだろう。昨年は193頭の牝馬に配合し、種付料は1200万円。これが何よりも期待の表れであり、父の領域に一番接近している後継種牡馬と言えるだろう。その他アルアイン(G1皐月賞、G1大阪杯)、フィエールマン(G1菊花賞、G1天皇賞・春=2回)、ロジャーバローズ(G1日本ダービー)などの有力候補も控えている。また、G1香港ヴァーズを2勝の実力馬グローリーヴェイズも、今年から供用が開始される。スピードと瞬発力に優れ、競り合いに強い闘争心を持ち、マイルから中長距離のカテゴリーでは世界トップレベルの能力を秘めたディープインパクトの後継種牡馬たち。次代の種牡馬界を背負うスーパーサイアーは、このディープインパクト系種牡馬陣から誕生する可能性が相当高いと思うのだが、いかがだろうか。
 海外で飛躍を目指すディープインパクト系種牡馬もいる。私どものブリーダーズ・スタリオン・ステーションで繋養されていたサトノアレスがトルコジョッキークラブからのオファーを受け、この度正式にトレードが決定した。ディープインパクト系種牡馬の熾烈な争いの中で、残念ながら配合牝馬には恵まれなかったが、2歳時の2016年にはG1朝日杯フューチュリティSを制し、最優秀2歳牡馬に輝いた。その潜在能力には、大いに期待ができると思う。サトノアレスのトルコでの活躍を祈りたい。

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