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2008年8月1日

さらに充実した11回セール

次の課題は海外購買者の開拓

北海道事務所・遠藤幹

 7月14日から3日間にわたって 「セレクトセール2008」 が開催された。 春先のトレーニングセールから、 軽種馬セールでは売り上げ不振が続き、 馬産地の景気の先行きに何かしらの変調が感じられるなかで行われた11回目のセールであった。
 初日の1歳市場は上場馬151頭のうち105頭が売却され、 売却率は69・5%、 取引総額は23億4760万円 (消費税別・以下同じ) だった。 続く2日間の当歳市場では、 上場馬314頭のうち222頭が売却され、 売却率は70・7%、 取引総額は73億3900万円を記録した。
 3日間の総計では、 465頭の上場馬中327頭が売却されて売却率は70・3%、 取引総額は96億8660円であった。
 3日間で全467頭の上場馬中348頭が売却され、 売却率は74・5%、 取引総額は115億7690万円を記録した昨年のセールと比較すれば、 売却率で4・2%、 取引総額では19億円弱のダウンとなった。 セレクトセールといえども、 先行きに不透明感が増しつつある経済状況の下ではその影響を受けざるを得なかったが、 そういう状況下にあっても売却率70%超、 平均価格でも2962万円を記録した巨大セールであることに変わりはなく、 大健闘といえるレベルの成績ではないだろうか。
 今年のセレクトセールは、 本セールが生んだスーパーホース、 ディープインパクトの初年度産駒が多数上場されることで話題を呼んだが、 大方の予想どおりディープ産駒は人気を集めた。 「ビワハイジの2008」 が2億2000万円で取り引きされたのを筆頭に4頭が1億円以上で落札され、 トータルでも上場36頭中31頭を売却 (売却率86・1%)、 取引馬の平均価格も6161万円を記録した。
 ディープ産駒の購入を 「先物買い」 とするならば、 種牡馬ランキングトップを快走するアグネスタキオン産駒の購入は 「投資」 といえるだろう。 タキオン産駒は当歳と1歳合わせて40頭中30頭が売却され、 クロフネの半弟 「ブルーアヴェニューの2007」 が今セールの最高価格にもなった2億4500万円で取り引きされた。 アグネスタキオン産駒の平均価格は4650万円、 取引馬の中間値は3100万円だったので、 トップ種牡馬産駒のこの価格は 「特価」 といってもいいだろう。 購買者にとっては、 トップ種牡馬の超良血がお買い得プライスなのだから、 満足された方が多かったのではないだろうか。
 今回のセールでは、 新たに日本のセリに参入した海外の購買者も目立ち、 オーストラリアの鉱山王ネイサン・ティンクラー氏が代表を務めるパティナックファームと、 イギリスのエージェント会社ブランドフォード・ブラッドストックが実際に上場馬を購入した。 さらに、 ドバイのモハメド殿下の代理人ジョン・ファーガソン氏が率いるダーレー・ジャパンは高額購買者に名を連ね、 日本の有力馬主のエージェントを務めるジョン・マコーマック・ブラッドストックや香港ジョッキークラブがセリに積極的に参加する姿も見受けられた。
 オーストラリアのイースターセール視察の際にも強く感じたが、 国境を越えて世界各地からセリ参加者が押し寄せれば、 間違いなくセールは活況を呈する。 国内の経済状況をダイレクトに反映する日本の軽種馬セールだが、 国内事情の影響を小さくするためにも海外購買のルートをさらに太くし、 かつ海外購買者にとっても日本でのセリに参加しやすい仕組みを作っていくことが今後ますます重要になっていくことは間違いない。
 今年度から、 落札価格の表示板が電光式からプラズマ式に変わって見易くなったうえ、 セリ開始前に上場馬の母や兄弟の活躍の様子が映像で流され、 セリの演出に一役買っていた。 また、 ステージ上部がえんじ色のカーテン幕でデコレーションされてグレードアップしたほか、 セリ会場前の厩舎に新たな下見所を設置するなど、 セリ場としての機能のさらなる充実も図られた。
 このようにセレクトセールでは、 マイナーチェンジを繰り返しながらセリの設備と運営システムを充実させ、 購買者の方々によりご満足いただけるような舞台装置を築き上げる試みを絶やすことなく続けている。
「最上級の素晴らしい馬を公明正大な舞台に上場させ、 誰もがセリに参加できるようにする」 ――セレクトセールの成功のキーセンテンスを一層強固なものにするため、 微力ながらセール運営に携わっていきたいと思う。
 最後にこの場を借りて、 セールに参加された購買者の皆様、 上場いただきました生産者、 コンサイナーの皆様、 そしてセールに携わったすべての皆様に心よりお礼を申し上げる次第です。

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