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日高便り

2012年12月21日

さらなる飛躍へ ステイゴールド

繁殖牝馬は質量とも大幅に充実

北海道事務所・遠藤 幹

種牡馬ステイゴールドの現時点での集大成は、三冠馬オルフェーヴルの輩出だろう。
 史上7頭目の牡馬三冠制覇に加えて有馬記念、宝塚記念の両ドリームレースに優勝したオルフェーヴルは、馬体の作りこそ父ステイゴールドとはやや違った印象を与えるが、故障を知らない強靭な馬体や海外遠征をものともしない順応性の高さ、ときおり見せる気性の激しさは、まさに父譲りのように思われる。
 平成23年に出現したこの三冠馬は、ステイゴールドの種牡馬事業に画期的な変化をもたらした。この年、事務局は前年同様、180頭程度の配合を予定して種付料を前年比50万円アップの250万円(受胎条件)に設定してシーズンインしたのだが、春先のオルフェーヴルの活躍に歩調を合わせるように繁殖牝馬が引きも切らずにスタリオンに来場することになった。一般余勢の申込者はもとより、大口シェアホルダーの社台グループやビッグレッドファームも自場の最上級繁殖牝馬をステイゴールドの交配に向かわせた結果、過去最高となる249頭もの牝馬との交配業務を消化。しかも従来にないハイレベルの牝馬に自身の子を宿すことになったのだ。
 翌年、つまり今年生まれた当歳にはオリエンタルアートの牡(ドリームジャーニー、オルフェーヴルの全弟)、ディアウインクの牡(ナカヤマフェスタの全弟)、トキオリアリティの牡(リアルインパクトの半弟)をはじめ、良血馬が目白押しだ。
 三冠と有馬記念に優勝した平成23年、オルフェーヴルはJRA年度代表馬に輝く。この年は、フェイトフルウォー(セントライト記念・GII)、ナカヤマナイト(共同通信杯・GIII)などの活躍馬も輩出し、ステイゴールドの当たり年となった。
 そして本年、またまたステイゴールド産駒の強豪が登場した。ゴールドシップである。共同通信杯・GIIIを勝って臨んだ皐月賞・GIでは、ただ1頭道悪のインコースから直線抜け出して快勝。ステイゴールドは2年連続で牡馬クラシックホースを送り出した。ダービー・GIでは5着に敗れたものの、菊花賞・GIを制して見事二冠馬となったゴールドシップは暮れの有馬記念に駒を進める。ほかの産駒も、ダービー・GIと天皇賞(秋)・GIで2着に惜敗したフェノーメノやナカヤマナイト、オーシャンブルーらが活躍中。平成24年度の余勢種付料は600万円(受胎条件)、種付頭数は202頭にのぼった。
 ステイゴールドの種牡馬成績も現役競走馬時代と同様に奥手であった。当初数年間は20位台だったランキングも昨年6位、今年は5位と上位に安定し、1・1~1・3程度だったAEI(アーニングインデックス)も、本年は2・40と一流種牡馬といえる水準に伸長している。
 配合した牝馬の質を表す指標としてCI(コンパラブル・インデックス)がある。牝馬の産駒の収得賞金から算出する指標で、平均が1。数値が2や3と大きくなれば平均より2、3倍も産駒が賞金を稼ぐ優良繁殖牝馬ということになるのだが、ステイゴールドのCIは1・14とごく平均的な指標である。ちなみにディープインパクトは4・70、キングカメハメハは2・39で、選りすぐりの上質牝馬に配合されていることが伺える。
 種牡馬成績でもスロースターターだった要因にはこういった背景もあると思われるので、この2、3年の繁殖牝馬の質的向上の著しさから、今後の産駒成績にますます期待がもてる。
 ステイゴールドは来年、19歳になる。余勢種付料は800万円(受胎条件)に設定されたが、申込が殺到してすでに募集終了となった。まだ若々しい馬体でムダ肉の付かない体型は昔のままだが、徐々に多頭数交配が苦しくなってくる年齢でもある。事務局スタッフの一員として、無理のない交配で末永く種牡馬として頑張ってもらい、今後も競馬シーンを盛り上げる優駿を送り出してほしいと願っている。

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