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日高便り

2021年10月25日

「日高便り」を振り返る(定点観測としての17年)

北海道事務所・遠藤 幹

 私がこの「日高便り」を書き始めてから30年余り。古い文章は「ワープロ」で作成したため現在は手元にない。それでも2004(平成16)年以降の文章はそのまま残っているのだが、久々に古い文章に目を通してみて、この17年あまりの期間とはいえ、ずいぶんと産地の状況も変わったことに気付かされた。拙文を取り上げるのも大変恐縮なのだが、定点観測の意味で、11月発行号(10月頭に原稿作成)で取り上げた出来事を振り返ってみたいと思う。
2004(平成16)年
 前年8月の台風10号で日高は大雨に見舞われ、門別町(現日高町)と新冠町の境を流れる厚別川が氾濫し、流域の牧場は大きな被害を受けた。特に新冠町共栄のキタジョファームは、屋根付き坂路が濁流に削り取られるなど壊滅的な状況になる。しかしその2カ月後には屋根付き坂路コースを復旧させ、それだけにとどまらず、残土や流木なども利用して延長550m・最大斜度4度のバークコースもこの年完成させ、お披露目のパーティを催した。「もう二度と台風には来て欲しくないけど、この災害をチャンスに変えてこの日を迎えることができました」と北所さんは力強く挨拶。(現在北所さんはさらに施設を充実させ、オーナー・トレーナーとして活躍中)
2005(平成17)年
 ホッカイドウ競馬の発売実績が芳しくない。10月初旬、開催日数74日間で発売総額は98億200万円で、対計画比では15億5000万円の減少、対前年比でも2億4600万円余り減少している。再建5カ年計画の最終年度でのこの低迷に、馬産地の危機意識は高まりつつある。函館では民間会社に運営を委ねたミニ場外がオープンしたばかりでもあり、道外発売の拡大やJRAの受託発売などやり残した宿題を関係者一丸となって取り組んでいかねば……と訴えている。
2006(平成18)年
 この年9月に日本競走馬協会の研修スタッフの一人として「キーンランド・セプテンバーセール」視察に渡米した。新たにSHOW RING(幅10m×長さ50mの巨大な屋根付きの下見所)が建設され、モニターではセリの実況や欠場馬の情報などが次々放映されていた。またセリ鑑定人が利用するモニターを見せていただいたが、機能的にできたこのシステムからは参加者一同多くの学びがあった。(これらセリ運営の方法や施設や設備のいくつかは、セレクトセール運営に生かされていくこととなる)
2008(平成20)年
 ステイゴールド産駒の活躍を取り上げた。ドリームジャーニーが朝日チャレンジCに優勝し、翌週にはマイネレーツェルがローズSに優勝。産駒はいずれも、長く使える脚と切れを武器にし、ゴール前の闘争心に優れた能力を見せており、ステイゴールド自身は、現役時代「眠れる獅子」とも言えるような「爪を隠した競馬」を続けていたのだろうと分析する。この時点でのサイアーランキングは17位。(この後オルフェーヴルやゴールドシップらが続々と登場し、トップ種牡馬の一翼を担うこととなる)
2009(平成21)年
 この年のセレクトセールでは、レポジトリーがデジタル化された。従来の34枚の大判レントゲン写真をシャーカステンにかざす方法から、デジタルディスプレイで画像を閲覧する形に変更になり、インターネットで大量のデータをストレスなく確認できるシステムになった。前年の会場内レポジトリーの閲覧件数は460件であったものが、この年は1599件(オンライン1015件・会場内584件)に激増し、閲覧された上場馬も全体の66.9%から98.1%に大きく上昇。ネットとの親和性が格段に高いレポジトリーシステムであることが実証された。(この後もネットシステムを取り入れた様々なセリ改革が進む)
2013(平成25)年
 「馬産地に根付く『構造不況』」と題して、この年のセリの売れ行きを振り返った。セレクトセールは過去最高の売却額117億6470万円(税別、以下同。売却率80.9%)を記録したが、8月のHBA主催のサマーセールでは、売却率は前年比7ポイント上昇して55%を記録した一方で、平均売却額は390万円と前年を18万円余り下回った。上場者の換金意識が前に出過ぎていて、お台の安さが価格の伸び悩み(昭和40年代と同水準)につながり、ひいては買い手市場になっていると分析した。
2020(令和2)年
 「絶好調のホッカイドウ競馬とせり市」と題した文書。ホッカイドウ競馬は66日を経過した時点で412億2990万円(対前年同日265億700万円)と、前年比156%の売り上げ増加を記録した。コロナ禍での巣ごもり生活の中で、ネットとの親和性に優れた馬券発売により北海道に限らず売り上げが大きく伸びることとなった。(ホッカイドウ競馬はこの年過去最高の520億4480万円の発売額を記録した)
 HBAのサマーセールは、売却率77%、平均価格630万円、売却総額は52億170万円を記録した。(本年2021年は頭数が増えた分、売却総額はこの年を上回ったが、売却率と平均価格は前年を少し下回った)

 大きく景気が回復した直近の馬産地。17年前にはとても考えられなかった状況だ。果たして10年後はいかなる風景が見えるのだろうか?

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