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2024年2月22日

多種多彩な新種牡馬の顔ぶれ

北海道事務所・遠藤 幹

 この拙稿が出る頃には、種牡馬展示会も終了し、各種馬場の種付け業務もほぼ途切れることなく日々続いているものと思う。好景気に沸いた2023年の馬産地だが、新種牡馬も数多く導入され、私が調べた限りでは主要9種馬場で供用・種付けされる新種牡馬は24頭にも上る。23年の世界最高レーティング135が与えられたイクイノックスを始め、G1(Jpn1を含む)勝ち馬だけでも21頭に上る新種牡馬たち。種馬場別にその顔ぶれを眺めてみたい。
 社台スタリオンステーション(安平町)は、イクイノックス(父キタサンブラック・5歳・受胎2000万円・満口)、グレナディアガーズ(父フランケル・6歳・受胎150万円)、シュネルマイスター(父キングマン・6歳・受胎350万円・満口)の3頭が供用を開始する。今年の注目度ナンバーワン新種牡馬はイクイノックス。レースでの圧倒的なパフォーマンスは、いまだ記憶に新しい。次々と優秀な競走馬を送り出す父キタサンブラックの後継として、選りすぐりの牝馬と配合することとなろう。グレナディアガーズとシュネルマイスターの2頭は欧州で極めて評価の高い父を持ち、その現役時代のレース成績からも、かなりの人気を集めそうだ。
 ダーレー・ジャパン スタリオン コンプレックス(日高町)には、アダイヤー(父フランケル・6歳・出生180万円)、パレスマリス(父カーリン・14歳・出生350万円)、フクム(父シーザスターズ・7歳・出生120万円)、ヨシダ(父ハーツクライ・10歳・出生150万円)の4頭が一挙にスタッドインした。中でも人気が沸騰しているのはパレスマリスである。産駒ジャンタルマンタルは暮れのG1朝日杯フューチュリティSを制し、JRA最優秀2歳牡馬に選出された。年が明けて、産駒ノーブルロジャーもG3シンザン記念に優勝し、さらに父の名を大きく高めている。本馬とヨシダはゴドルフィングループの馬ではないことからも、日本での適性を見極めての導入ではないかと推察する。
 ブリーダーズ・スタリオン・ステーション(日高町)はピクシーナイト(父モーリス・6歳・受胎100万円)を導入した。3歳時にスプリンターズSを快勝したその能力を高く評価されての種牡馬入りで、シンジケートも株数を増やしての即日満口となった。
 優駿スタリオンステーション(新冠町)には、ウエストオーバー(父フランケル・5歳・受胎250万円)、ヴェラアズール(父エイシンフラッシュ・7歳・受胎50万円)、オナーコード(父エーピーインディ・13歳・受胎180万円・満口)、ジュンライトボルト(父キングカメハメハ・7歳・受胎80万円)の4頭が入厩した。ウエストオーバーは愛ダービー、サンクルー大賞典とG1レースを2勝した欧州の強豪で、父フランケルは奇しくもグレナディアガーズ、アダイヤーといった新種牡馬と同じである。ドバイシーマクラシックではイクイノックスに3馬身半差の2着、“キングジョージ”ではフクムと壮絶な叩き合いの結果、アタマ差の2着に惜敗。レーティングは127のフクムに次ぐ126を獲得し、芝中長距離部門で世界4位にランクされた。
 ビッグレッドファーム(新冠町)はJRA最優秀2歳牡馬ダノンザキッド(父ジャスタウェイ・6歳・受胎50万円)を、日本軽種馬協会静内種馬場(新ひだか町)はシャープアステカ(父フロイド・11歳・受胎150万円)の導入に成功した。
 レックススタッド(新ひだか町)は、タイトルホルダー(父ドゥラメンテ・6歳・受胎350万円・満口)、ダンシングプリンス(父パドトロワ・8歳・受胎50万円)、マスタリー(父キャンディライド・10歳・受胎120万円)が入厩した。亡きドゥラメンテが23年チャンピオンサイアーの座を射止めたが、その初の後継種牡馬となるタイトルホルダーは、種牡馬入りの報とともにシンジケート加入や余勢の申し込みが殺到したとのことで、日高地区種馬場の新種牡馬の中で大将格と言える存在だ。
 アロースタッド(新ひだか町)には、カフェファラオ(父アメリカンファラオ・7歳・受胎150万円・満口)、テーオーケインズ(父シニスターミニスター・7歳・受胎250万円)、パンサラッサ(父ロードカナロア・7歳・受胎300万円)、ファストフォース(父ロードカナロア・8歳・受胎80万円)、ユニコーンライオン(父ノーネイネヴァー・8歳・受胎30万円)が入った。地方競馬隆盛の中で、ダート系種牡馬の種付料が高騰しているが、テーオーケインズの種付料250万円の設定は関係者の期待の表れなのだろう。
 イーストスタッド(浦河町)は、ネクサスハート(父ブラックタイド・6歳・受胎30万円)が初供用となる。また、辻牧場で繋養されるスズカソブリン(父ノーネイネヴァー・5歳・受胎20万円)は、種付けをイーストスタッドで行うという。
 駆け足で新種牡馬の顔ぶれを俯瞰してみたが、これだけ多士済々のメンバーが揃うと配合もいろいろ迷いそうだ。その一方で既存の種牡馬の申し込みは、大きく減少する馬も続出しそうで、「繁殖牝馬」というパイの奪い合いが一段と過熱化していくように感じる。いずれにしても空前の好景気が生んだ新種牡馬導入ラッシュでもあり、血統の更新が進む中でより強い日本産馬の生産が続くことを願いたい。

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