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日高便り

2019年10月25日

秋たけなわの日高

北海道事務所・遠藤 幹

 秋分の日、新ひだか町静内の靜内神社では、秋の例大祭が行われる。例年のことだが、このお祭りの日を境にしてぐんと気温が下がり、肌寒い日が続くことが多い。今年の9月23日は、台風崩れの低気圧が通過し、終日冷たい雨が降った。季節は確実に進んでいく。
 すっかり気温の下がった門別競馬場に行けば、「いずみ食堂」の温かいそばと、「ルンビニ」のネパール風カレー(付け合わせの香辛料の塊のような漬物を、カレーに混ぜ込むと即座に汗が吹き出す!)で暖を取りながら、競馬観戦を楽しむことができる。秋も深まり、競走馬の仕上がり具合も良好のようだ。めっきり増えたインド系の厩務員に引かれた競走馬が、リズムよくパドックを周回している。
 ホッカイドウ競馬の売り上げは本年絶好調。開催62日を消化した時点で247億5300万円(前年同日より72億円、41%の増加)と、年間開催日数である80日換算では、320億円をうかがう勢いだ。JRAネット投票で気軽に地方競馬の馬券が買えるようになったことが最大の要因と考えられているが、その一方で門別競馬場の入場人員は、500~600人程度であり、ゆったりと競馬観戦を楽しむことができる。私の訪れた日には、日頃仕事でお世話になっている獣医さんの所有馬が優勝した。ゴール前、関係者10人ほどが大声援を送る様は、大変ほほえましく馬産地競馬の姿そのものだった。

 9月17日、18日に日高軽種馬農協が開催した「セプテンバーセール」も、先のセール同様に好調な結果を残すことができた。2日間で492頭の上場数に対し、363頭が落札され、落札率は73.8%、落札総額が14億7950万円(税別、以降同)、平均落札価格が408万円だった。これで本年度の日高軽種馬農協の販売総額も99億8860万円に到達し、オータムセールを控えて、3年連続の100億円超えを確実にした。
 競馬主催者の賞金等も上昇傾向にある中で、購買者のセールへの前向きな気持ちに衰えはなく、軽種馬産業は穏やかな好景気の中にある。この数年は秋払いの種付料の支払いも順調である。ディープインパクト、キングカメハメハのいなくなった種牡馬界ではあるが、多士済々の面々が今後覇権争いを繰り広げることとなる。私の会社(サラブレッド・ブリーダーズ・クラブ)も他に乗り遅れず頑張っていきたい。

 先日、日高在住の英国人と話している時(日本語ですが)、「馬産地用語のノミネーション(nomination 種付権利)に大変違和感がある」という話になった。
 馬の仕事と無関係な職種の彼が言うには「ノミネート nominate(動詞) には、『指名する』『任命する』といった意味があるが、種馬の権利みたいな意味はどこにもない」ということだった。長年、この業界用語を使用している私には、当然ちんぷんかんぷんな話になり、回答する材料もなかったのだが、彼が続けて「言葉のイメージとしては、推薦したり指名したりしたことを、相手側が受けるといった一連の作業を含んでいるのだけど」と続けたときに、急に目の前に光がともった。
 海外の種付け申し込みは、事前に種馬場に種付け予定牝馬を記した申込フォームを送り、種馬場サイドでは、種付け牝馬のレベルやその他、種々の事情を考慮し、申し込みを受け入れるか否かの決定を下す。つまりノミネート作業を行っているのだ。そうして配合権が付与されるのだが、これがまさしく「ノミネーション」のことなのである。
 日本では、一連のこの作業を行い、「ノミネーション」を付与しているところは、日本軽種馬協会とダーレー・ジャパンしかない。私自身はそんな言葉の定義を知らずに、この業界用語を日常使用していたが、英国人の指摘で、言葉の意味は奥が深いとしみじみ実感した次第だ。
 つるべ落としの秋の日暮れ。間もなく来年度へ向けての種牡馬導入も本格化することだろう。



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