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2026年10月25日

ノーザンマスターズ・ホースショーを観戦して

北海道事務所・遠藤 幹

 7月31日~8月2日の3日間、苫小牧市のノーザンホースパークで「ノーザンマスターズ・ホースショー」が開催された。北海道では過去最大規模の馬術競技会で、私は開催中日の8月1日に会場を訪れ、競技を観戦した。大会の詳細な結果などは今号の特集記事に譲るとして、ここでは馬術競技の素人が肌で感じた「観戦記」を率直に書き連ねてみたい。

 当日、10時ごろにノーザンホースパークへ到着した私は、まずは会場の雰囲気を味わうべく歩き回ることにした。セレクトセールなどで勝手知ったる場所ではあるが、馬術はオリンピックの障害馬術をテレビで見た程度。まずはメインアリーナとドレッサージュアリーナ(アリーナ=馬場、ドレッサージュ=馬場馬術)での競技を少しずつ眺め、場内に慣れることから始めた。最初に観戦したのは、顔見知りの育成牧場主のスタッフが出場していた馬場馬術。ここで私は、初めて馬場馬術がどのような競技であるかを正しく認識することとなった。

 少し雰囲気が掴めてきたところでメインアリーナへ移動し、「NORTHERN MASTERS GP 大障害飛越競技(予選)」を観戦する。さまざまな装飾が施された障害物がアリーナ内に巧みに配置され、選手の合図に従った競技馬たちが軽やかにそれらを飛び越えていく。その姿を次々と目の当たりにし、「人馬一体」という言葉の意味を改めて思い知らされた。惜しくも後肢を引っ掛けてバーを落下させれば会場からため息が漏れ、見事にクリアした選手と愛馬には拍手が送られた。

 驚いたのは観客の多さ(3日間で5706名の入場者があったという)。会場で大会副会長を務めるノーザンファームの広瀬春行氏にお会いしたのでお話を伺うと、「正真正銘、純粋な馬術競技ファンが入場者の多数を占めている」とのこと。これには自身の認識をすっかり改めさせられた。逆に、競技日が土曜日だったこともあってか、競馬関係者の姿は比較的少なめだった。

 当日は8月とは思えないほど気温が低い日となり、何も考えずに半袖のポロシャツで出かけた私は、当初は寒さに震えていた。しかし幸いなことに、会場にはたくさんのキッチンカーが出店していた。苫小牧名物のホッキカレーを食べ、ホットコーヒーで身体を温めながら、グルメを堪能することができた。また、一角の売店を覗くと、馬の肖像画や絵ハガキを展示している女性がいらした。写実的かつ迫力のある馬の絵に魅せられてお話を伺うと、山形からお越しで、ご主人が今大会に出場されているとのこと。ちょうど馬の肖像画を描いてくれる方を探していたこともあり、名刺を頂戴した。非常に良いご縁をいただいたと感じている。

 一息ついた後に観戦したのは、当日のメイン競技「Northern Horse Park Grand Prix FEIグランプリ 馬場馬術競技」だ。メインアリーナがびっしりと観客で埋まる中、招待選手6名による演技が始まった。パンフレットを開くと、オリンピック代表選手がずらりと名を連ねていた。

 私はこの馬場馬術に完全に魅せられてしまった。不謹慎を承知で申し上げれば、「競馬に勝るとも劣らない面白さ、いや、それ以上ではないか」と感じるほどだった。馬場馬術はしばしば「馬のフィギュアスケート」と評されるそうだ。20m×60mの馬場をいっぱいに使い、所定の歩様で演技する。究極の「人馬一体」が求められる世界で、見る側も自然と神経を張り詰める。競技を繰り返し見るうちに、私もいくつかの歩様を覚えた。斜め前方に横滑りするようなステップの「ハーフパス」、スローモーションを見ているかのように滞空時間の長い「パッサージュ」、その場で足踏みをする「ピアッフェ」、そして一完歩ごとに手前を変える駈歩で、あたかもスキップしているように見える「フライングチェンジ」。これらは馬の美しい姿勢と相まって、正確さや力強さがダイレクトに観客へと伝わってくる。

 選手も馬も鍛え上げられたアスリートだが、同時に生身の人間であり動物でもある。「ここまで完璧だったのに」という場面に出くわすと、目の肥えた観客席から大きなため息が漏れる。それでも、選手の美しい騎乗姿勢を含めたその佇まいは気高さに満ちており、演技が終了すると会場全体から惜しみない拍手が送られていた。

 また、私のような初心者にとって大変わかりやすかったのが、実況解説と得点表示ボードの存在だ。的確な解説のおかげで見どころがリアルタイムで把握でき、素人では気づかないような減点箇所もその都度指摘してくれる。この演出が、馬場馬術の奥深さと難しさをより深く教えてくれた。

 表彰式後に各人馬が「ウイニングラン」として馬場を周ったのだが、元競走馬だったサラブレッドだけがレースを思い出すのか、掛かり気味になる仕草を見せて駆け出していく姿は、なんとも微笑ましかった。

 「百聞は一見に如かず」とはよく言ったものだ。まったく予備知識のない状態での観戦だったが、馬術の面白さを存分に味わった一日となった。初めて生で見た競技会が、日本のトップライダーたちが集う最高峰の舞台であったことも幸運だったと思う。来年の開催も今から楽しみにしたい。吉田勝己大会長をはじめ、素晴らしい感動を与えてくださった関係者の皆さんに、心から感謝申し上げたい。

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