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2026年4月24日

注目を浴びるばんえい競馬

後藤 正俊

 3月22日の全国版(東京本社版)スポーツ紙2社(サンケイスポーツ、日刊スポーツ)の1面に「ばんえい記念」の予想記事が掲載された。北海道版では全国版の内容を差し替えて1面で掲載されたこともあったが、全国版でばんえい競馬が1面に掲載されたのはおそらく初めてのことだったのではないだろうか。一時は深刻な廃止の危機に瀕していたばんえい競馬が全国で注目されるほどまで復活してくれたことは、北海道で競馬記者を長く続けてきた筆者にとって何とも感慨深い出来事だった。
 ばんえい競馬についてよく知らない人もいると思うので簡単に説明すると、ばんえい記念(定量戦)はばんえい重量(そりと積載物を合わせた重量。騎手重量77キロは含まず)が6歳以上1000キロ、4・5歳990キロ、牝馬20キロ減という最高重量のレース。ばんえい記念に次ぐ帯広記念(年度内収得賞金別定戦)の最高負担重量は900キロ程度なので、ばんえい記念は1レースだけ重量が突出している。また賞金も今年の1着賞金は2000万円で、帯広記念の800万円と比べても破格なレースとなっている。
 今年のばんえい記念が全国的に注目された大きな要因は、メムロボブサップ(牡10歳、坂本東一厩舎)というばんえい史上最強と言われている名馬が出走したからだろう。同馬はこのばんえい記念前までに116戦58勝、2着33回。勝率は50%、連対率は78%。8連勝・19戦連続連対中。2024年度以降(24年4月~)は17戦16勝、2着1回というほぼ完璧な成績を残していた。そのメムロボブサップが23、25年に続いて3度目の制覇を目指した。不利とも言われている大外枠を引き当てたが、それでも実力差は明白で単勝1.1倍の圧倒的な1番人気。この日の馬場水分は1.6%のオモ馬場のため第2障害までに何度も立ち止まり息を入れるゆったりとした展開で、メムロボブサップは常に先頭を射程に入れながら余裕の好位追走。ハイライトとなる第2障害に小差3番手で到達し、ふた腰で登坂してトップで障害クリアした。ゴール前で一旦立ち止まったもののこれは阿部武臣騎手が万全を期した息入れで、まったく不安を感じさせずに2着クリスタルコルドに15秒差をつけて圧勝した。勝ちタイムは3分18秒8。この2年は雪が降っていたため2分台の決着だったが、3年ぶり3分台の力勝負でもメムロボブサップにはまったく関係がなかった。
 ばんえい記念単体での売り上げは2億1353万9800円で過去最高を記録した。単勝1.1倍の圧倒的な存在がいて馬券的な妙味は極めて薄いレースだったにもかかわらず、これだけの売り上げを記録できたのは「メムロボブサップのレースを馬券を買って応援したい」というファンも多くいたからではないだろうか。これでメムロボブサップは重賞27勝目。収得賞金は1億3894万7500円。1月の帯広記念で古馬重賞完全制覇、2月のチャンピオンカップで歴代通算収得賞金最高額更新(前記録はキンタローの1億1672万5000円)と重賞最多勝記録単独1位(26勝、前記録は自身とオレノココロの25勝)を達成していたが、10歳になっても衰えを知らない名馬に勲章がまた一つ加わった。
 メムロボブサップのばんえい記念3勝は、スーパーペガサスの4勝(03~06年)に次ぐ記録で、過去に3勝はキヨヒメ(1979、81、82年)、キンタロー(83、85、86年)、フクイチ(95、97、98年)、トモエパワー(2007~09年)、オレノココロ(17、18、20年)がいる。また2勝もダイニミハル、マルゼンバージ、シマヅショウリキ、サカノタイソン、ニシキダイジン、カネサブラック、メジロゴーリキらがいて、いずれもばんえい史に残る名馬たちだが、これらの名馬たちとメムロボブサップの大きな違いは、高重量戦でも軽量戦でも、オモ馬場でもカル馬場でも勝ち続けていること、2歳時からずっとトップに君臨し続けてきたことにある。例えばスーパーペガサスは通算155戦42勝で最多連勝は4勝。2歳時は普通の条件馬で、3歳時にばんえい大賞典を勝っているもののダービー、菊花賞は敗退。6歳秋頃から本格化して7歳以降は高重量戦では圧倒的な強さを誇ったが、1分台の決着となる軽量戦やカル馬場は苦手にしていた。その傾向はキンタローやトモエパワーらも同様だった。それに対してメムロボブサップは2歳シーズンに二冠、3歳時に三冠を達成。4歳以降もコンスタントに活躍を続け、4~6歳時はスピード決着でこそアオノブラックやセンゴクエースに敗れることはあったものの大きく崩れることはなく、7歳以降は無双状態で1分台のスピード決着でも取りこぼすことがなくなった。スピードとパワーを兼備という面では73戦50勝という驚異の勝率を誇ったサカノタイソンがいたが、重賞は6勝でメムロボブサップとは大きな差がある。
 もちろん過去の名馬たちと単純な比較はできない。以前は岩見沢、旭川、北見も巡る4場開催で、その競馬場による砂質の違いなどもあった。賞金は売り上げによって大きく変化している。重賞競走数も違うし、登録頭数も時代によって大きく違う。それでも現在、メムロボブサップが「史上最強馬」としてファンから熱烈に支持されていることは確かだ。定年10歳制度が24年から復活して、メムロボブサップも4月からはラストシーズンを迎える。最大目標はスーパーペガサスに並ぶばんえい記念4勝目となるのだろうが、それまでの1年間、1レース1レースでどのようにファンを魅了し続けてくれるのか、ばんえい競馬をさらに全国に知らしめてくれるのか、興味が尽きない。

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