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馬産地往来

2026年10月25日

今春の種付頭数がまとまる

後藤 正俊

 主要スタリオン施設の今春の種付頭数がまとめられた。最多交配種牡馬はパレスマリスの246頭で、2024年の262頭、25年の237頭に続き、輸入後3年連続で種付頭数トップとなった。同馬は父カーリン、母パレスルーマーの米国産馬で、現役時代は13年ベルモントS、14年メトロポリタンHのG1・2勝を含む19戦7勝。短距離から長距離まで幅広く、タフに走った印象の馬だった。16年からスリーチムニーズファームで種牡馬入りし、その初年度産駒からBCジュヴェナイルターフ勝ち馬ストラクターを出すなど一定の成功を収め、24年にダーレー・ジャパン スタリオン コンプレックスに輸入された。

 その直後、持込馬、外国産馬として日本でデビューした21年生まれのジャンタルマンタル、ノーブルロジャー、インユアパレスが怒涛の活躍。輸入前に日本で血統登録されたパレスマリス産駒は18年生まれ1頭と21年生まれ7頭の計8頭だったが、このうち6頭がJRA勝ち馬となり、他の2頭も地方競馬で勝ち上がっている。産駒8頭とはいえ全馬勝ち上がりはレアケースと言えるだろう。この産駒レベル全体の高さ、ジャンタルマンタルらの大活躍があっても種付料は輸入初年度から変わらず350万円に設定されている点、またサンデーサイレンスの血を持たない点などが生産者には大きな魅力となった。ジャンタルマンタルが来春から種牡馬として供用されることで同系の「ライバル」は増えるものの、種付料は日本での初年度産駒がデビューする来年度までは据え置かれることが予想され、来年度も種付頭数トップの座を守る可能性が高そうだ。

 種付頭数は218頭で4位だったものの、実質的には「1番人気」だったと思われるのが1年リースで導入されたアメリカンファラオだ。種付け希望は890頭近くに達したと報じられており、今春は多くの生産者から「申し込んでも種付けができない」という悲嘆に暮れた声が聞かれた。米国三冠馬はこれまで13頭が誕生している(アメリカンファラオは12頭目、最新は18年ジャスティファイ)が、種牡馬として日本に輸入されたのはアメリカンファラオが初めてだった。

 これまでの米三冠馬には種牡馬成績が目立たない馬もおり、ワーラウェイのように欧州へ輸出された馬はいたものの、さすがに米国の至宝を極東へ送り出すケースはなかった。実現できたのは日本軽種馬協会が長年にわたって築いた信頼の高さが要因だったと言えるだろう。アメリカンファラオ産駒の外国産馬、持込馬はこれまで99頭が日本でデビューしており、このうち73頭が勝ち上がり、カフェファラオとダノンファラオがダートでG1/Jpn1を制覇。芝でもリフレイム、ジューンブレアがオープン入りし、日本の馬場への適性の高さも示している(成績は10月13日時点)。しかも日本軽種馬協会による導入のため種付料は破格の400万円だったのだから、生産者の目の色が変わるのも当然のことだった。あまりの人気の高さに当初の1年リースは1年間延長され、27年も日本での供用が続くことになり、種付料は今年と同じ400万円と発表された。来春も激しい交配権争いが繰り広げられることになりそうだ。

 今春、種付料が1000万円以上だった種牡馬は10頭で、これは昨年に続いて最多タイ。ディープインパクトとキングカメハメハが死亡した19年以降では、その19年にロードカナロアが1500万円、20年には同馬が2000万円、ハーツクライが1000万円に設定されるなど、セリ市価格の高騰もあり次第に高額種付料の種牡馬が増加してきた。種付料の設定は単にビジネス面だけでなく、人気種牡馬への交配申し込みの集中を和らげる意味もあった。

 表に示したように、今春の種付頭数上位10頭のうち1000万円を超えていたのはイクイノックス、キタサンブラック、エピファネイアの3頭で、他の7頭はいずれも500万円以下という二極化構造を示した。一般的な小中規模生産者にとっては種付料経費の上限は400~500万円程度であることが多く、その中から生産馬が1歳を迎えた時に「化けていそうな」種牡馬を予想することも重要な生産者の仕事。その意味で、今春までは手頃な種付料だったが来春は大幅に値上げしそうなシスキンやエフフォーリアを選んだ生産者は、予想が見事に的中したと言えるだろう。


■2026年 国内繋養種牡馬 種付頭数上位10頭
順位 種牡馬名 種付頭数 種付料
1 パレスマリス 246頭 350万円
2 シスキン 224頭 400万円
3 イクイノックス 219頭 2500万円
4 アメリカンファラオ 218頭 400万円
5 ルヴァンスレーヴ 216頭 400万円
6 レイデオロ 213頭 200万円
7 レモンポップ 207頭 500万円
8 エフフォーリア 199頭 400万円
9 キタサンブラック 197頭 2500万円
10 エピファネイア 182頭 1500万円
※パレスマリス、レモンポップの種付料は出生条件。その他は受胎条件。

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